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人を幸せにする人になろう

高松塚のこと

◆高松塚は特別史跡であるが、それは奈良時代の彩色壁画という希有な絵画資料をもつことによ る。壁画も別途、国宝に指定された。しかし劣化が著しく、どうしてもこのまま保存できない。この古墳の価値の根源である壁画を守るためには、取り出すしかないと。史跡としては現状変更。しかし、保存修復後に元に戻すということを条件とした。しかし現状変更許可の条件が、元に戻すこと、というのが無理なのだ。劣化を防ぎ、壁画を守るためには取り出すしかない、それが現状変更の理由そのもの。元に戻すことを条件に解体を許可するというのは、原則論とのすりあわせ上の理屈。もちろん石室や石垣のハラミなど、解体して積み直すことは原則。が、あのデリケートな壁画はそうはいかない。
◆いま、文化庁は、当時の戻すと言ってきたことを困難と転換しようとしているらしい。そう いう条件で史跡の価値を損なう現状変更を通したが、やっぱり無理と。
◆この結論は、はじめから予想された。だから、元に戻すことを前提とした底石の取り出しに反対した。まあ、この問題は今となってはどうということもない。問題は、で、保存処理をした上で、どう公開するかに移ることになろう。早くも明日香村の村長が要求をつきつける。
◆どうなんでしょう。現地にガイダンス施設や出土品などの公開施設を設けることは一般論としてはよいことだ。が、明日香村という狭い範囲のこと。キトラはキトラで、また高松塚は高松塚で、それぞれ脇に壁画実物を展示する施設を作るのだろうか。これも原則論的には妥当としても、現実論としては問題が多い。明日香村も今では大きい道路はできるし、往事の雰囲気はずいぶんと損なわれた。そんな施設をいちいち作らなくても、観光客は来る。むしろ、そんなものが氾濫するこ との景観上の問題など、明日香村のもつ良さが損なわれていくように思われてならない。国は国で、高松塚に対し、あれだけの予算をつぎ込んで、メンツをかけて保存処理をやっている。飛鳥資料館に置けばいいではないか。現地は現地、そして飛鳥資料館を、高松塚壁画をはじめ、実物資料を見ることのできる博物館として充実させる。既存施設を利用することが、もっとも合理的である。わたし、なんか間違ったこと言ってますか。また、怒られるかもしれません。
[写真]引き続き植物園で撮った写真を。
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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
61
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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