人を幸せにする人になろう
- 日々の雑多な感想や記録を書き留めていくことにします―2008年6月~―
播磨の研究会の記録をいただく
◆考古学研究会大会で道昭氏に記録集をいただいた。前期古墳について、若手4人が報告し討論している。どこまでついてい
けるかわからないが、勉強しよう。もう最先端は無理かもしれないが、「考古学をわかりやすくしよう」ということで、頑張ろうか。そういう立場からすると、前期古墳の編年は、みんながよってたかってやれば、スタンダードができるのではないのかと思う。言いっぱなしでなく、まとめる必要がある。むろん、最終的に意見の一致をみず、保留にせざるをえないところもあるだろうが、ではどこまでは合意できるか、をつきあわせてもいいのでは。研究発表でなく、2泊3日くらいで合宿したら、なんとかならぬのだろうか。
◆じゃーお前ヤレ、と話はそうなるのだろうが。
◆ひとまず大賀君に反対されている点をチェックしないといけない。短甲やね。まず、紫金山は行燈山型より1段階遅れると思う。で次が紫金山なんだが、安土瓢箪山・園部垣内・新沢500を同時期として、竪矧板も方形板も一緒や、というので果たしてよいのだろうか。
◆じゃーお前ヤレ、と話はそうなるのだろうが。
◆ひとまず大賀君に反対されている点をチェックしないといけない。短甲やね。まず、紫金山は行燈山型より1段階遅れると思う。で次が紫金山なんだが、安土瓢箪山・園部垣内・新沢500を同時期として、竪矧板も方形板も一緒や、というので果たしてよいのだろうか。
日本の遺跡保護行政
◆なんとちゃんとしているのでしょうか。そして、活用なども進んでいる。上からという批判もあるが、それは遺跡保護だけではない。西欧的な市民の権利や意識を長年育んできた社会と、明治に導入され大正デモクラシーを経て、戦後にようやく本格化した日本との差があるのは当然(が保護の点では上回っている)。行政が必要な政策を定着させるために上から導入していくというのも、日本では必要なことだったのであり、基盤整備はできてきたわけで、いま各地で動いているように、市民が参加して整備計画に携わったり、日常管理にあたったりというのは、その上に育っていけばいいのである。
◆坂井さんの報告に対する杉本さんコメントは実によかった。まとまった活字にして欲しい。ちゃんとメモを取れていないが、覚えている限りでは、記録保存の定着はいいことなのだが、それによって遺跡を壊し続けていることへの意識が希薄になっているのではないか、というのがひとつあった。これ、九大移転地の時に岡村さんが言っていたのを思い出す。システムとしての定着は日本の行政のいいところではあるのだが、処理するだけでいいのか、極端に言えば、すべて残せないのか、といった構えで臨むくらいの心意気が必要なのではないか、ということだろう。上は極端で、現実的には、こんなん壊してええのか、という思案がないということの危機感を指摘したものと理解する。で、現実そうなわけで、よっぽどでないと残せていないということ。意識を変える必要があると。相当の覚悟が担当者に必要だという言葉も重い。
◆これも市民の意識などにも通じますね。コンクリートから人へだったか、これからは文化だとか、人づくり、意識づくり、街づくり、そういうものに対し、オカミがきめたことに唯々諾々従うのでなく、それぞれの地域でコミュニティで、こうあるべきなんとちゃう、大事なんちゃう、ということを(原発反対もまったく同じ)、人々がそれぞれ考えを言う、それでこの社会を作っていく、ということが求められている。政策的にも街づくりが打ち出されている中で、遺跡は開発に邪魔なだけな存在という考え方ももはや古く、文化財担当者は、もっと堂々と文化財のもつ価値を主張し、政策決定の欠かせぬファクターとして食い込んでいく(活用の話であれ壊す話であれ)、そういう下地ができつつある社会へと進んできているんではないか、ということでもあると思う。
◆坂井さんの報告に対する杉本さんコメントは実によかった。まとまった活字にして欲しい。ちゃんとメモを取れていないが、覚えている限りでは、記録保存の定着はいいことなのだが、それによって遺跡を壊し続けていることへの意識が希薄になっているのではないか、というのがひとつあった。これ、九大移転地の時に岡村さんが言っていたのを思い出す。システムとしての定着は日本の行政のいいところではあるのだが、処理するだけでいいのか、極端に言えば、すべて残せないのか、といった構えで臨むくらいの心意気が必要なのではないか、ということだろう。上は極端で、現実的には、こんなん壊してええのか、という思案がないということの危機感を指摘したものと理解する。で、現実そうなわけで、よっぽどでないと残せていないということ。意識を変える必要があると。相当の覚悟が担当者に必要だという言葉も重い。
◆これも市民の意識などにも通じますね。コンクリートから人へだったか、これからは文化だとか、人づくり、意識づくり、街づくり、そういうものに対し、オカミがきめたことに唯々諾々従うのでなく、それぞれの地域でコミュニティで、こうあるべきなんとちゃう、大事なんちゃう、ということを(原発反対もまったく同じ)、人々がそれぞれ考えを言う、それでこの社会を作っていく、ということが求められている。政策的にも街づくりが打ち出されている中で、遺跡は開発に邪魔なだけな存在という考え方ももはや古く、文化財担当者は、もっと堂々と文化財のもつ価値を主張し、政策決定の欠かせぬファクターとして食い込んでいく(活用の話であれ壊す話であれ)、そういう下地ができつつある社会へと進んできているんではないか、ということでもあると思う。
念のため
◆遺跡という一般名詞があり、学術的に人類の痕跡全般をさすとされているので、これは無限大。それに対し、文化財保護法の対象とするものについての用語が必要で、いまの実態はそれが埋蔵文化財。前に書いた、第2条の文化財が土中にある状態といったヘンテコリンな定義はともかく。つまり、実態として、埋蔵文化財に相当する言葉が必要なのである。
◆学術上の無限大の遺跡と同じ言葉ではまずいということは理解できる。しかし、実際のところ、いま運用されている埋蔵文化財と、われわれの通念的な遺跡とはそんな乖離はない。一般市民の理解でも、違わないだろう。つまり、どういうものの場合に、開発行為で残せないときに調査するかという範囲について、遺跡と言っても社会通念的にほぼ近似した理解にあって、遺跡を使うことで困らないだろうし(法律上困らないようにする工夫はできるはずだ)、わかりやすいのである。埋蔵文化財という、何ですかといわれる用語でなく、法律用語としても遺跡を使う方が理解をえやすく、世界的に見てもそうすべきなのだ、ということ。
◆所詮、法律ではあるが、世間との意思疎通の上で、媒介を必要とすることは、理解を求める上で、邪魔になるだけだ。
◆学術上の無限大の遺跡と同じ言葉ではまずいということは理解できる。しかし、実際のところ、いま運用されている埋蔵文化財と、われわれの通念的な遺跡とはそんな乖離はない。一般市民の理解でも、違わないだろう。つまり、どういうものの場合に、開発行為で残せないときに調査するかという範囲について、遺跡と言っても社会通念的にほぼ近似した理解にあって、遺跡を使うことで困らないだろうし(法律上困らないようにする工夫はできるはずだ)、わかりやすいのである。埋蔵文化財という、何ですかといわれる用語でなく、法律用語としても遺跡を使う方が理解をえやすく、世界的に見てもそうすべきなのだ、ということ。
◆所詮、法律ではあるが、世間との意思疎通の上で、媒介を必要とすることは、理解を求める上で、邪魔になるだけだ。
で、埋蔵文化財
◆埋蔵文化財という言葉は確かに定着したが、捨て去るべきだと考えている。定着したのは業界で、世間とずれているから。説明しなければならないだけ無駄。
◆文化財保護法。
第2条、この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
1 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの・・・、
4 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの・・・(記念物)。
第92条 土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について・・・。
第109条 記念物のうち重要なものを史跡・名勝・天然記念物・・・に指定することができる。
◆日本の文化財保護法で、われわれが通念的に遺跡と考えているものを埋蔵文化財といい、それは、この法律でいう文化財で土地に埋蔵されているもの、という定義のされ方をしているのである。世界の法律では考古学的遺跡とか、ちゃんと遺跡となっている。埋蔵文化財の章を、ちゃんと遺跡として、その遺跡の範囲は行政で決めるという構えにすべきなのである。和田さんの教えでは、「建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの・・」をはじめ、第2条の定義にあたる文化財が土中にある状態を指すのが埋蔵文化財なんだと。とはいえ、第4項で遺跡は別に出てくる。へんてこりんで支離滅裂。
◆こんなもの、頭のいい人が現状と変わらないことになる言い方に変えてくれればいいのである。あるいは変えたって、ぜんぜん影響がないほどに「埋文行政」は成熟している。
◆現実的な運用は、第4項の、貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの・・、これが届出対象の埋蔵文化財で、そのうち重要なものが史跡になる。記念物というくくりを維持するとすれば、遺跡(いわゆる遺跡+旧宅みたいなやつ)>記念物(重要なもの)=保護法の文化財>史名天(特に重要なもの)という構造。でもまあ旧宅みたいなものも含めて「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺産で」とでもして、埋蔵文化財の章のところで、第92条 第2条第4項の「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺産で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高い」文化財のうち、土地に埋蔵されている文化財(以下、遺跡という)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の三十日前までに文化庁長官に届け出なければならない。でもいいんではないか。
◆だめ押しするとすれば、届出を要する遺跡が所在すると周知されている土地については、都道府県教育委員会が定めるものとする。を加える。これによって、なんでも届出対象にしえたものが制限されるという危惧はあるかもしれないが、そこは文化庁の通知もあるわけで、すでに考え方は整理されており、いまやっていることができなくなることはないのではないか。
◆文化財保護法。
第2条、この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
1 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの・・・、
4 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの・・・(記念物)。
第92条 土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について・・・。
第109条 記念物のうち重要なものを史跡・名勝・天然記念物・・・に指定することができる。
◆日本の文化財保護法で、われわれが通念的に遺跡と考えているものを埋蔵文化財といい、それは、この法律でいう文化財で土地に埋蔵されているもの、という定義のされ方をしているのである。世界の法律では考古学的遺跡とか、ちゃんと遺跡となっている。埋蔵文化財の章を、ちゃんと遺跡として、その遺跡の範囲は行政で決めるという構えにすべきなのである。和田さんの教えでは、「建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの・・」をはじめ、第2条の定義にあたる文化財が土中にある状態を指すのが埋蔵文化財なんだと。とはいえ、第4項で遺跡は別に出てくる。へんてこりんで支離滅裂。
◆こんなもの、頭のいい人が現状と変わらないことになる言い方に変えてくれればいいのである。あるいは変えたって、ぜんぜん影響がないほどに「埋文行政」は成熟している。
◆現実的な運用は、第4項の、貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの・・、これが届出対象の埋蔵文化財で、そのうち重要なものが史跡になる。記念物というくくりを維持するとすれば、遺跡(いわゆる遺跡+旧宅みたいなやつ)>記念物(重要なもの)=保護法の文化財>史名天(特に重要なもの)という構造。でもまあ旧宅みたいなものも含めて「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺産で」とでもして、埋蔵文化財の章のところで、第92条 第2条第4項の「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺産で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高い」文化財のうち、土地に埋蔵されている文化財(以下、遺跡という)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の三十日前までに文化庁長官に届け出なければならない。でもいいんではないか。
◆だめ押しするとすれば、届出を要する遺跡が所在すると周知されている土地については、都道府県教育委員会が定めるものとする。を加える。これによって、なんでも届出対象にしえたものが制限されるという危惧はあるかもしれないが、そこは文化庁の通知もあるわけで、すでに考え方は整理されており、いまやっていることができなくなることはないのではないか。
考古学研究と埋文行政
◆坂井さんが話したとおり。考古学という学問は自由で、その調査対象も無限に広い。条件が整うなら、なにを調査してもいい。しかし行政は違う。原因者負担で事業者に経費を求めるためというだけでなく、行政が保存目的の調査を行う場合も税金を投入するわけで、やはり社会通念的に大方の合意をえられる対象でなければならない。そのために文化庁は学問の進展により見直していくべきものと但し書きをした上で、対象や、本発掘調査の範囲のくくり方などを定めたわけである。文化財保護法を行使して届出を求め、また行政指導として経費負担を求める場合、対象とする埋蔵文化財包蔵地は、人間の残した痕跡すべてともいえる遺跡とイコールではありえない。それは行政が範囲を決めるものであり、範囲を特定することは当たり前なのである。
考古学とは何か(2)
◆遺跡にもとづく歴史学。別に遺物を軽視しているわけではないですよ。遺物研究の可能性はすごいもの。が、遺物も遺構も含めて、われわれが相手にしているのは遺跡なのであって、遺物研究を当然に含むわけだ。遺物を研究すること、遺構を研究すること、そして遺跡を総合的に研究すること、これが考古学研究であって、資料は遺跡なのです。
◆もうすこし書けば、遺物研究も遺構の研究もそれ自体の価値があるのはむろんだが、やはりそれは遺跡の評価ののためにあるといってもいい。そしてその蓄積によって、ひとつの遺跡も地域の中で位置づけられる、評価できる。そういう遺跡の分布、動態、それにもとづき人の営みを明らかにしようとしているわけだ。
◆大学の調査が、研究者の研究課題に照らして選択されるのは確かだろう。なにもないけど掘りたいというのはもはや許されない。古墳で言えばお宝をもとめて、とにかくでっかい古墳のまん中を掘るなんぞ、もはやありえない。そして、研究者の研究課題といった場合、完全に特定の遺物をえるためとか、特定の種別の遺跡の解明といった目的で行われるものでもない。遺跡が地面にある以上、その地域のなかで考えるものであって、大学の調査でも、まずは地域史研究であるのが当たり前なのだ。
◆もうすこし書けば、遺物研究も遺構の研究もそれ自体の価値があるのはむろんだが、やはりそれは遺跡の評価ののためにあるといってもいい。そしてその蓄積によって、ひとつの遺跡も地域の中で位置づけられる、評価できる。そういう遺跡の分布、動態、それにもとづき人の営みを明らかにしようとしているわけだ。
◆大学の調査が、研究者の研究課題に照らして選択されるのは確かだろう。なにもないけど掘りたいというのはもはや許されない。古墳で言えばお宝をもとめて、とにかくでっかい古墳のまん中を掘るなんぞ、もはやありえない。そして、研究者の研究課題といった場合、完全に特定の遺物をえるためとか、特定の種別の遺跡の解明といった目的で行われるものでもない。遺跡が地面にある以上、その地域のなかで考えるものであって、大学の調査でも、まずは地域史研究であるのが当たり前なのだ。
プラグイン
カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
雲楽
年齢:
61
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。