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飛鳥時代の基本尺度としての25㎝南朝尺

◆高麗尺と唐尺だけで考えるのが間違い。南朝尺25㎝がある、というのを、7世紀をやっている人はほとんど知らないのである。基本が中国尺で、墳丘など土木工事はその歩数。そこに横穴式石室とともに高麗尺が入る。が、これは石室の尺度という特殊なもの。社会の基本には25㎝尺が継続しているわけです。
◆で、より大きな影響力をもって高麗尺が入るセカンドインパクトは寺院。が、これが寺院にとどまるか、どうかが問題(M氏の研究では建物は25㎝なのです)。もしかすると、石室と同じく寺院専用の特別尺みたいなもんかもしれません。
◆が、この6尺1歩が度地尺になっていくのはどういうことなのでしょうか。やはり寺域等のかなりの広い範囲を計量するのに、高麗尺およびその6尺1歩が半島から新たに導入されるのかもしれませんね。25㎝の6尺1歩で古墳の築造が続いているなかで、高麗尺1000歩といったものになっていく説明です。前方後円墳がなくなり、最大でも用明墓の60mくらいになっていくなかで、飛鳥時代にもっと長い距離を扱う必要が生まれ、それに寺院建立を契機に導入された高麗尺だけでなくその6尺1歩の度地法もまた持ち込まれ、土木工事一般に用いられるようになり、25㎝の6尺1部がむしろ古墳専用に限定されていくという経過をたどるのかもしれません。
◆だがしかし、25㎝尺は、歩数は古墳だけになるにせよ、器物とかふつうの建物には依然として用 いられ続けるのだろうと推測できます。大宝令の大尺・小尺は高麗尺と唐尺の2つにするという内容であって、逆に言えば長く使われてきた25㎝尺を捨てる、という意味もあるわけです(『古代都市・条里制研究』に書きました)。とにかく、7世紀をやっている人には、25㎝尺は視野に入っていないわけです。一例を示します。石棺は25㎝尺ですよ。おそらく。石室の規模が高麗尺から唐尺に変わっても、石棺もでかいものではありますが、100mといった測地じゃないので、あくまで尺数を用いる器物扱いです。クサ墓の石棺を示します。25㎝尺の10尺×6.5尺です。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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