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文化財保護法改正

いろいろと話が舞い込んでおります。しばらくの間調べたもの。

2011年度(H23)に活用事業予算名[文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業]を開始する(~H24まで)。保存や史跡整備の予算項目に対し、活用事業についても以前から立てていたと思われる(未確認)が、2011年度の[文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業]には、「観光」と「地域活性化」が入っている。この時点では政府あげてのものでなく、予算規模や事業は大きくはない(のだろう)。
2013年度(H25)から、活用事業予算名は[文化遺産地域活性化推進事業]となり、「観光」という文言は落ちる。「地域活性化に資する各地域の実情に適した総合的な取組を支援」するものとする。
◆2014年度(H26)には、活用事業予算名[文化遺産を活かした地域活性化事業]となり、補助金事業への応募に際し、「総合的な取組に関する計画」が策定されていることを条件とすることが始まる。この計画は、2007年に提言した「歴史文化基本構想」を念頭に置いたものであろう。
◆2015年度(H27)には、日本遺産の制度を設け、また活用事業予算名[文化遺産を活かした地域活性化事業]の補助メニューに「歴史文化基本構想策定支援事業」が加わった。これは「各地方公共団体が,地域に存在する文化財を指定・未指定にかかわらず幅広く捉えて,的確に把握し,文化財をその周辺環境を含めて総合的に保存・活用するための基本的な構想「歴史文化基本構想」を策定するため」のものである。
 また日本遺産については、「地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより,地域の活性化を図ることを目的とし」、「地域に点在する遺産を「面」として活用し,発信することで,地域活性化を図る」とする。またこれにより、「認定された当該地域の認知度が高まるとともに,今後,日本遺産を通じた様々な取組を行うことにより,地域住民のアイデンティティの再確認や地域のブランド化等にも貢献し,ひいては地方創生に大いに資するものとなると考えてい」る。申請条件として、「歴史文化基本構想又は歴史的風致維持向上計画を策定済み」であること、認定の判断項目の中に、「日本遺産という資源を活かした地域づくりについての将来像(ビジョン)と,実現に向けた具体的な方策が適切に示されていること」や、「日本遺産を通じた地域活性化の推進が可能となる体制が整備されていること」も加えてある。
 この年度末の2016年3月に「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が、『明日の日本を支える観光ビジョン』をまとめる。そのなかで、文化財の「保存優先」から「理解促進」と「活用」への転換を謳い、この目的に沿った1000事業の実施と200箇所の観光拠点の整備が書き込まれている。
◆2016年度(H28)には、活用事業予算名「文化財総合活用プラン」(?)(96億円)のなかに、「文化遺産を活かした地域活性化事業」(21億円)に加え、前年度から始まった日本遺産に認定された対象への「日本遺産魅力発信推進事業」(12億円)が始まる。
 この2016年度には、前年度末の『明日の日本を支える観光ビジョン』を承けて、省庁協議が進み、文化庁の対応がまとめられていったと思われる。
 2017年度(H29)予算要求では、活用事業予算名を「文化財総合活用・観光振興戦略プラン」と変え、観光ビジョンにもとづき行動指針〈文化財活用・理解促進プログラム2020〉を策定し、2020年までに観光資源化への1000事業と200箇所の観光拠点整備の方針が書き込まれている。また、観光拠点形成のための新たな補助事業「観光拠点形成重点支援事業」が既に立てられている。
 内閣官房と国土交通省観光庁が2017年1月にまとめた『「明日の日本の支える観光ビジョン」主要施策に係る取組について』において、「文化財の観光資源としての開花」として、上記文化庁の対応が盛り込まれている。
◆今年度2017年度(H29)には、「観光拠点形成重点支援事業」として、1件(高山市3億円)が交付されている。2018年度からは重点要求となるのだろう。
 そして5月に文部科学大臣が文化審議会へ諮問、今回の『中間まとめ』となる。

◆予算の名前とか補助事業名とか、間違っているところもあるかもしれませんが。

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雲楽
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男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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