人を幸せにする人になろう

ニサンザイ調査の感想

◆今回、レーザー測量の図面が堺市のリーフレットに使われていて感動。いや~、すごい。で、まあよく残っているわけだ。そこに19箇所のトレンチが入っていて、テラスがあり、埴輪があり、中段裾の葺75af8942.JPG石があると。こうした多数のトレンチを入れてテラスばっかり掘ることには疑問もあるが、いろいろ書いてきたし繰り返さない。一定の理解もできる。が、1シーズン3ヶ月弱でやる調査として過大ではないのかという反対意見は、7月懇談会時にもあった通り。その心配は当たっていないこともないように思う。半分に分け、各トレンチをより入念に調査すべきだろう。
◆個々のトレンチの判断は詳細には語れないので、全体の印象。転落石や埴輪片が出る流土と思われるものを除いていき、多くのところで埴輪が宙に浮いてしまっている。埴輪は掘形がなく据え付けたものであるらしい(御廟山でもそうらしい)。据える前の面があり、割り付けをして並べ、そこにテラス面の仕上げ土を入れるんだろう。なので充填する土は、それより下位の盛土の締まりよりはやわらかいんだろう。すなわち動きやすいようだ。
◆確かに基部あたりでも埴輪片が出ている。なかなか判断は難しい。全体がずっていて、埴輪片も落下し、検出状況としては、ああならざるをえない箇所もあるのだろう。しかし据え付け時に埴輪が欠け破片が充填土のなかに入る場合も想定できる。あるいは明らかに掘り過ぎと思われる調査区もあった。
◆据え付け穴がなくこうした設置方法を採るものの調査なんてしたことはないし、難しいんだろうな~、と思う。が、し214e8001.JPGかし、埴輪片が入っているので掘り進め、底部まで露呈してしまうとすれば、ちょっと待てよ、となる。あるいはそうした設置方法とすれば、残りのいいところであれば、残存面と考えられるところで止め、半分とか壁寄りで接地面を検出する、といった姿に仕上げることが考えられる。そこは試行錯誤の上に、現場で妥当な判断を導いていく必要がある。難しいのは理解できる。そういう意味で、2回に分けて、次年度、そういう経験をふまえて残りに望む、ということがあっていいのではと感じる。
◆ことは全国第7位の前方後円墳である。あんまり言うとさしさわりもあろう。が、それだけの経験と能力をつぎこんで、この最大級の古墳に慎重に対峙してほしい。埴輪があればカッコいいし、成果が上がっているように見える。致命的になにかを壊したというものでもないかもしれない。こっちとしてもエエモンを見せてもらっているという面もある。中断裾がありテラス面があり埴輪が立っているという当たり前の情景の細部に、実は難しい面があったようだ。
◆説明を聞いていて悩みもわかったし、意見の違いもあるようだ。是非とも、議論して、それぞれの調査区での検出状況がこう説明できると解明してほしい。
【追記】当初の記事に事実誤認や不適切な発言がありました。心よりお詫び申し上げます。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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