人を幸せにする人になろう

うまく書けるか

◆恒藤の一高時代の日記『向陵記』翻刻本末尾の、広川先生の解説を読む。とても勉強になった。なぜ恒藤は文学から法律に転じたのか。
◆広川先生が「理想主義的自由主義者」というのはいいネーミングだと思う。学びと思索、人との議論を通し、人はみな自分の考え方をもつ、うちの日本史の言い方では「自分になる」。学びや思索に際限はなく、自己変革を続け、正義感、主義、理想を抱く。むろん浅く、非合理な偏ったものではない。それが自分自身であり、揺るぎないもので、もっとも確かなもの。そしてそれは新しいもの変革を生む力でもある。一方、現実社会は理想には遠く、また保守的で、新しいものを阻害する。自分の理想、現実世界、そのなかでどうするかは人それぞれ。直接行動を好む人はいるし、また必要でもあろう(いまはより多様な関与がありうる)。が、ふつうの人は、日常のなかで、やれることをやる。
◆恒藤は、そうして現実世界に対峙していく生き方を確信する。19世紀20世紀に獲得してきた西欧思想に学びつつ、思索を深め、自分のコアを磨き、それでもって、政治家や官僚になるわけでなく、現実世界に対峙しようと。大事なのは、希望ということか。世の中は頑固であり、対峙しても99は負け、1前進するくらい。が、しかし人々がそれを繰り返し、人類が進歩してきたことに確信をもっている。現実はなかなか変えられない、意見を表明したり提案してもつぶされる。無力感を感じるだろうが、しかし歩みがのろくても進むという希望である。これこそ人間の歴史といえるかもしれない。そういう意識を、声高に主張するわけでなく(選挙前に絶叫し、当選したら忘れる人々なんかでなく)、内面において確固としてもち、生きていくことを見いだした。
◆そして自分の歩む道を、作文「韓非子を読む」にうかがえるようだが、普通の人々の暮らしを支える法律家となり、現実世界に対峙することを選ぶ。
◆戦後、日本国憲法の定着のため、あるいは世界平和を願い、多くの講演をし、モノを書いている。(ネットの世界では「理想主義者の空論」と切り捨てられる。ネットの世界のみならず、幸福実現党は、いまの参院選で「自主憲法を制定し核武装せなあかん」としゃーしゃーと。自民党でも、自主憲法とか憲法改正を選挙演説で論点化を避け、ましてアベ君は思ってはいても「核武装」なんて言わないのに。) こうした恒藤の言動は、安保法制を通し、選挙結果次第では憲法改正を進めようとする現体制下において、伝えたいと思う。美化するのではなく。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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