人を幸せにする人になろう

和泉市史にまきこまれる

◆和泉市史、大阪市大日本史研究室は、和泉市史編纂発足から、まともにかかわっている。教員4名ともが委員。毎年、学生教育をかねて合宿調査もやる。これは2000年4月に赴任する前にスタートしている。考古は石部正志・広瀬和雄が委員だ。わたしはそこに市大に来たので、委員でなく専門調査員とかなんとか。なので、和泉市史の考古部門になんら責任を負いたくなかったし、距離を置いてきた。まあしかし、10年も和泉市で合同調査に関わり、おなじ地域を継続調査してくると愛着も生まれる。遺跡の豊富なところでもある。そして、石部先生はもう老齢で「任せる」というし、広瀬さんにはもはや期待ができない。なので、だんだん外堀が埋まり、実質的なことをせざるをえなくなってきた。今年度は池田編の原稿、来年はテーマ叙述編の原稿に組み込まれた。
◆そして、これは前から提案はしていたことだが考古資料編が動き出した。和泉市の文化財は弱体だと思う。まともな報告書はほとんどない。昨年の和泉黄金塚のシンポジウムで、「黄金塚を整備していこうというのはわかるが、いまの体制ではとても無理、若い実働可能な職員をとらないと、そんなことできない」と言った。この4月、定年退職者補充で1名はとったが、そこまでだった。どことも同じで、期限付き嘱託であとはまかなおうとする。しかし、和泉に来てくれる人はいないという。昨年度まで属託をやっているS君は、嘱託時のあまりの上司の無責任な仕事の押しつけに嫌けがさして、募集試験に応募しなかった。
◆そんな和泉市、未報告の山。和泉市にどんな遺跡があるか、まわりの人にはさっぱりわからん。だから市史編纂事業という予算がついている期間に、これまで掘りながら報告していないものについて、どんな遺跡があり、過去どんな調査がなされ、どんな遺構が出ていて遺物が出土しているのか、短くともまとめて考古資料編を出すことは、和泉市の場合は大いに意味がある。ただし、それをやるには、外部の大学人が数年で果たせることではない、お手伝いはするけれど、掘ってきた人が覚悟をきめて「やる」と決意しなければできませんよ、と言ってきた。そういう発言が委員会でもようやく取り上げられ、今年度になって動き始めた。5月に、文化財担当、石部先生、わたし、市史編纂職員で会議を開き、「やる」方向が決まり、遺跡のリストアップ作業にかかることになり、本日、第2回目の会議で、市史別編、A4版、200頁程度、といった基本線が固まった。遺跡のリストも出た。次は遺跡ごとに頁を割り振り、執筆者を割り当てていくことになる。
◆今年度に入り、いよいよ自分の調査とは別に、和泉市の調査もやっていかなきゃいかんかと、信太山周辺の首長墳および信太千塚の測量、和泉黄金塚の東博遺物の実測を考えるようになった。昨日の会議で、それも表明した。和泉大津高校の遺物整理は、わたしとしては躊躇していたのだが、それもやらされるハメになりそうな雰囲気だ。なんでもかんでもできはしない。しかし、考古資料編を出すから、こういう資料整備をしようといった前向きなことがどこまで進められるか、ほっといたら、あまりでてきそうにない。新しく入った新人に期待しよう。彼も、今日の会議を見ているだけでも、早くもモロモロを押しつけられている。
◆どういう距離感でいこうか。仕事をかかえこんで自分の首をしめることはすまい。市の文化財としてやるべきなのだ。ボランティアをやるほど暇ではない。和泉黄金塚も菩提池西も、自分が興味があるからやるのだ。
◆それとは別に、和泉の条里復元作業を市史紀要でやることになり、学生をバイトに雇ってもらって作業を進めている。これはこれで、古代の郷復元のためにやっている。これまでの古代史の郷理解とはまったく異なる結論が、数年前の池上の合同調査の時にえられた。奈良県は、大プロジェクトを組んで条里復元図の大著を世に出している。大阪は個別市史レベル。河内も摂津も面白いが、なんでもかんでもできない、まずは和泉だ。学生・院生1人づつ2人で、条里復元線をイラストレーターで描かせている。8月中くらいには終わるだろう。市史には小字を入れることはこっちでできないので、編纂室で地図に小字を入れてくれれば、それを仕上げることはする、と言ってある。

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雲楽
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男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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