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大阪市の文化財保護

◆以下、個人的めも。すこし議論が進められるようになったか、な?

 大阪市には教育委員会に文化財保護課があり、(公財)大阪市博物館協会(2010年(平成22)設立、経済戦略局所管)のなかに4つの博物館と遺跡調査部門である大阪文化財研究所がある。大阪文化財研究所は、1979年に設立された(財)大阪市文化財協会を引き継いだものである。
 大阪維新の会の首長となり、大阪府と大阪市の二重行政の解消の検討や都構想の中で、大阪府・大阪市の遺跡調査および博物館運営について統合する検討も進められたが、実現はしなかった。しかし、2013年(平成25)8月にまとめられた『基本的方向性』のなかで、発掘調査業務は、「自治体監理への移行を前提に民間活力の導入を図るなど整理再編を行う」とされた。また「それらの業務を行うにあたっての適正な職員数や組織体制のあり方等を検討する」とされている。
 その後、都構想をめざす橋下大阪市長は、2014年(平成26)3月の出直し市長選挙を経て、大阪都構想の協定書をまとめ、いったん否決されたが2015年(平成27)3月に可決される。この動きの中で、2013年度段階の大阪文化財研究所の整理・再編案以前の問題として、都構想における特別区5区案における文化財業務のあり方が検討された。しかし、2015年5月の住民投票で大阪都構想が否決・廃案となり、実現しなかった。
 一方、大阪市は博物館を地方独立行政法人化することを以前より国に求めてきたが、地方独立行政法人法施行令が2014年(平成26)2月に改正され、博物館業務が対象に加えられる。博物館の地方独立行政法人化にむけた予算は議決で否決されたため、現状維持で推移してきた。しかし、2017年(平成29)3月に関連予算が可決され、2017年・2018年度の2年間をかけて準備し、2019年(平成31)4月に独立行政法人化することとなった(大阪市立科学館も含める)。これにより、(公財)大阪市博物館協会は2019年3月末に解散することになり、遺跡調査部門である大阪文化財研究所はこのままでは消滅する。しかし、大阪文化財研究所をどうするのかという話は聞こえてこない。
 大阪市は、これまで難波宮跡や大坂城跡の半世紀を超える調査をはじめ、質の高い調査を数多く重ねてきた。それは、大阪市が設立した大阪市文化財協会、いまの大阪文化財研究所により続けられてきた40年間にわたる営為である。大阪市域の遺跡調査を担ってきた大阪文化財研究所は、遺跡の把握、調査から整理・報告までの技術や経験、出土資料の保管や活用、普及活動まで、遺跡の調査研究という重要な公的業務を果たしてきた。
 大阪市の遺跡について質の高い調査を今後も継続していくことが必要であり、そのためには大阪文化財研究所が培ってきたものを受け継ぐことが不可欠である。2013年8月の『基本的方向性』の謳う民間調査組織の導入は不適切である。一方、経済成長時代の発掘業務の激増に対応して設置されてきた財団法人組織について、いま全国的に行政での実施に切り替えることが進んでいる。それは望ましいことではあるものの、いまの財団職員を公務員化するか、多数の新規採用が必要であり、2019年4月に大阪文化財研究所からの継承・転換を図ることは現実的ではない。
 大阪市においては、遺跡調査への対応を今後どのような体制で実施していくのか、埋蔵文化財だけではない文化財保護という重要な公益的業務であることに立脚し、管理・調査・保護活用・普及についての理念をもち、十分な議論にもとづき行政機能や調査組織についての方針をいま確立させる必要がある。公立調査組織の設置がもっとも望ましいが、いずれにしても今後の遺跡調査体制を設計した上で、現在の法人組織を存続させ、移行を図っていくことが合理的で妥当な筋道である。
 存続が不可欠と考える大阪文化財研究所をどうするのかを含め、こうした議論がどこまで進められているのか、まったく不明である。大阪市の遺跡を含めた文化財保護の重要な転換点と考えられ、関係部局および組織において十分に議論し、すみやかに適切な方向性を出し、その実現に向けて尽力いただくことを願うものである。さらに、大阪の歴史や文化にかかわる関係部署や組織が連携・協力して、地域の歴史文化遺産を大事にする大阪市民を育み、それを重要な行政課題とする大阪市とすることを、使命として共有し取り組まれることを望む。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
54
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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