人を幸せにする人になろう

2017年1月22日近畿地区文化財専門職説明会開催される(続)

◆各発表やディスカッションを聞いて、いろんな感想をもち、マメなメモはないが、感じたこと をまとめておきたいものだが・・・。
◆説明会では、考古畑で文化財の担当者になり、遺跡の調査にもかかわるんだけれど、実際には市町村担当者はあらゆる文化財を扱うことになる。夏の準備会の時にそのことをしっかり押さえないとと発言した記憶があるが、発表者が実際やっていることをしゃべると、自ずからそうなった。市町村の規模により差はあれ、遺跡から出発して、ほっといてもなんでもやらないといけなくなる、それはその通り。仕事だから好き嫌いでなくやらないといけないし、やっていくと多くの人は面白くなって、ひいてはいろんなものが残る地域全体のことを考えるようになる(事務的に仕方なくやっている人もいるのかもしれないが)。
◆なんとなく違和感めいたものを感じた点もある。経験を積むなかで考古畑出身のものが遺跡から文化財全般の広がりを身に着けていく、さらに人づくり・町づくり、地域づくりという境地に到達していく、というのが実情なんだろうとは思う。市町村のベテランの、長年の経験から認識されてきた役割、文化財専門職の仕事はそういうものだ、というところから話をはじめる必要があると思った。
◆市町村の担当者が、自分たちのところにある有形無形あらゆる文化財をカバーし、その価値をちゃんと知っていることにもとづき、それを現在の地域社会に活かしていく、そういう仕事だ、ということを打ち出すわけです。もはや発掘ばかりやっていた時代は過ぎ、各市町村担当者が仕事を重ねてきて、地域づくりなんだというところに行きついている人がいっぱいいるわけです。その到達点をしっかりまとめ、掲げる必要があるだろう。
◆そして人づくり・町づくり、地域づくりを、具体的事例にもとづき明確な仕事イメージを示す必要がある。考古・遺跡だけでなく、説明看板や整備した史跡のイベントだけでなく、地域の人々が自分たちのものと意識し、国史跡もあっていいが、むしろそうでない遺跡だったり民俗だったり古民家や古文書といったものを、守っていったり、勉強会をしたり、自分たちが向き合うことをサポートした実績例など、である。
◆別の話。大学側で考古学で論文を書くとなると、その性質上、特定の材料を突き詰めていく、ということになる。いろんな遺跡から地域史を描く論文もあるだろうが、概して専門分化した特定のことになる場合が多いだろう。でも一方、文化財専門職はそうでなく、むしろあらゆるものをトータルに扱う能力を求められる。むろん、特定のテーマで資料をもとに論を立てる専門的な研究能力が、文化財専門職として(あるいは博物館学芸員として)、いろんな文化財を取り扱い、一定の専門的理解を身に着ける応用能力になるんだろうとは思う。でもベクトルは違うな、とも思う。ある遺物を自分の研究テーマとして持続してやっていく、むろんそれは自由だしあっていい。が、文化財専門職、職というものはプロになるということで、ふつうは自分が向き合う文化財をちゃんと理解し価値判断できる学びに自ずからなっていくもので、その積み重ねにより文化財のプロになっていくのだと思う。
◆誰かが言っていたように、調査に参加しそれを取りまとめていくという経験は(発掘に限らない)、文化財専門職としてやっていくための直接的な力となりますね。

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HN:
雲楽
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60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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