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考古学とは何か(1)

◆遺跡にもとづく歴史学。過去人類の残した物質的資料にもとづき人類の過去を研究する学問である、といった定義は捨て去るべき。物質的資料というのは遺構も含めてですよ、ということを常に言い添える必要がある。過去、産業革命時に出土する先史遺物が博物館に持ち込まれ、そこから3時代区分を導いたり、クラシカルアーキオロジーがギリシャローマの彫刻などに関心を寄せたり、遺跡と遊離したブツが研究対象となってこの学問が出発したかも知れないが、もはや遠い過去である。
◆まどろっこしい定義は捨て去り、いまの考古学の行為は、遺跡に基づく歴史学というのでほぼ99%カバーできるだろう。伝世品は扱わないのか、といった指摘は愚問、やったらいいではないか。われわれの相手にしているのは遺跡なんです。
◆歴史学か人類学か、人文学か。これもまあどうでもよい。歴史学といってしまうと先史や旧石器時代はなじまないような気がするというのもわからないではない。時間の流れ方が違っていて、変化というより考古学的な同時存在のなかでの生態を明らかにすることの方が主で、重要で、多くを占めるということかもしれない。しかし、歴史時代であっても、遺跡を調査してどうするかと言うとき、時間軸で変化を追うことも、生活様式全体を解明することも、地域的に広げていくことも、古い時代でも新しい時代でも同じように必要なことである。
◆過去の人々の営みを明らかにするということでは同じ。それを歴史学という言葉でくくってもいいいし、人類学といってくくってもいいし、人間学でも人文学でもいい。いずれにしても、遺跡が資料で、古い新しいはあれ過去を扱うわけだから歴史学といって問題はないのでは。これは言葉の問題。
◆マイヒストリーか、アワヒストリーか、ユアヒストリーか、ザヒストリーか。それは根っこのところにはあるのかもしれない。が、遺跡を調査してなにがしかを明らかにしようとするときに、それによって差があるのはよくない。われわれは遺跡を通じて事実を明らかにしようとしているはずである。旧石器時代など日本史でないというのは理解できる。が、また考えることにして、まあ日本列島の歴史のことという意味である。むろん琉球列島や北海道の歴史など、かなり記述も増していると思うが、どのように取り上げていくかは引き続き考えなければならない。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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