人を幸せにする人になろう

この業界

◆学問は遊びだ、みたいなことを書いたが、むろん極論であって、業務(研究・教育・社会的貢献)があり、境目ははっきりしないが、トータルの労働時間は少なくないのです。研究が基礎であり、むろん給料をもらっているのだから、仕事をしなきゃならんが、研究の世界は、仕事だからやるだけのことではないわけです。
◆とはいえ、昨日届いたメールで、過労で40歳でなくなった埋文業界の人の存在を知ると、あまり不謹慎な発言はできない。しかし、奈文研にいたときは奈文研の、文化庁にいたときは記念物行政の仕事を、まあ一所懸命やってきたわけで、わたしはわたしで今の職場の仕事をする、それが大学ということ。
◆埋文業界が、いまだ趣味でやっていると思われているなら、教育委員会内部でさえ、そういう目で見られているのだとしたら、それはそうでない、ということをはっきりさせなければならない。行政にいたことがない自分にとって、市町村の担当者として、発掘業務その他に携わる方々のたいへんさは「わかってない」のだろうが。
◆とはいえ、教育委員会や役所のなかで、自分のところの文化財を守る守護神として、立派に職責を果たしている、と思われるようにしなければならない。上司を味方につけ、発掘から帰ってきて夜遅くまで整理している、場合によっては展示業務もやっているという大変さを、まずはちゃんと理解してもらわなければならない。そして、役所のなかで市長やら開発部局とも。文化財が元気のない過疎化の進む地方行政の中で、地道ながら町の特質を訴える効果的な素材であって、町としても重視する、市民にも調査して環境整備をして看板をひとつ立てる、ということを通じて理解をえる、そうした努力が必要だ。
◆市長・町長は交代し考え方もかわるが、役所の中で確固たる位置をしめること、そしてなによりも市民の指示を集めることだろう。文化財の仕事は大事で、こんな遺跡があるのか、街道や町並みや古い石像物には、こんな歴史や由来があるのか、という仲間をえなければならない。どこでも、一定の年齢の方々や教育熱心なお母さん方は、文化財がんばれ、もっと情報発信せよ、わかりやすい看板やパンフレットを出してくれ、という要望は強い。確実にそこを仲間に引き込み、さらに増やしていく。そうした地道な理解を、基盤を形成していけば、予算的に厳しくとも、「やめてまえ、いらん、文化財?趣味でやってるのやろ」ということではなくなるはずだ。
◆みんな、もっと適当にやってるのだろうが、人一倍、熱心な故に過労が積み重なり、倒れたに違いない。それにしても1人はつらいだろう。業界のなかでの地域の会合なんか、やっぱり必要だろう。孤立しないしくみが。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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