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根来寺西面の城郭遺構

◆6月28日に、和歌山県岩出市根来寺跡の発掘調査を見る。あんまり改めて書く気がしないので、下にいま準negoro.jpg備している大歴の保存要望書案を貼り付けておく。
◆文化庁にも電話した。ちゃんと見て、それでいいのかどうか判断してくれ、と。古巣だが、こんなお願いをすることはほとんどない。あんまり無理を言いたくはないし、普通の場合は、都道府県教育委員会は、なんとかならんのか、という立場で頑張ってくれているから。だけど、和歌山県は違う。岩出市が言うこと聞かんのはむろん、県もそのままこっそり壊そうとしているから、どうしようもない。こんな和歌山県に誰がした。熊野古道の世界遺産なんて取り下げてしまえ。
◆このブログを見ている方々、とくに中世史に関心ある方、是非、話題にしてください。そして、「これは壊したらあかんやろ」と言ってください。お願いします。

根来寺旧境内西側城郭遺構(一乗閣移転予定地)の保存を求める要望書

根来寺旧境内における今回の発掘調査(2011年6月11日に一般公開)は、旧県会議事堂(一乗閣)移転予1703cd36.JPG定地の事前調査として実施されたもので、最終的には調査地を削平して遺構を破壊し、移転を進める予定と聞いている。
しかし、今回の調査で発見された遺構は、北からのびる尾根の西斜面を加工し、根来寺中心部の防御を意図した施設と考えられ、学術的にきわめて貴重である。南にある大門池と一体となって、和泉国からの交通路である風吹峠側に対する防御ラインの一画をなすもので、城郭的機能をもつものと評価できるであろう。その意味で、前山や西山城とともに、根来寺の軍事勢力としての性格をよく示すものである。斜面を多重に削りだした遺構には、急傾斜にもかかわらず石垣がよく残存しており、尾根上に想定できる鯱瓦を葺いた建物とともに、根来寺の威容を示す重要な施設である。
根来寺は日本の中世史を特徴づける重要な歴史遺産であり、内部の坊院をはじめ数々の遺構がこれまでに調査されてきたように、遺跡地にはまだ地下遺構がよく残っている。和歌山県は、その調査研究および保護施4856b9a9.JPG策に、地元岩出市とともに積極的に取り組むべきである。しかし根来寺旧境内は一部が史跡指定されただけで、内容確認の調査にもとづく史跡地の追加指定は計画的に進められていない。そればかりか、市民・学会からの保存要望にもかかわらず、岩出市の図書館建設による大門池の堤体破壊をはじめ、多くの遺跡が破壊されてきた。また、岩出市の公園墓地駐車場予定地で見つかった湯屋遺構も保存が決まっているわけではない。
今回の旧県会議事堂(一乗閣)の修復・移転については、和歌山県教育委員会が事業主体とのことであり、本来、根来寺旧境内を保護すべき立場にありながら、このまま遺跡を破壊してまで移転を進めるとすれば、それは和歌山県における文化財保護の放棄であるといわざるをえない。1962年に根来に移された旧県会議事堂(一乗閣)の老朽化への対応が必要であることは理解できるが、本来史跡として保護を図るべき遺跡を破壊してまで移転を実施することは本末転倒である。
上記のような趣旨に鑑み、大阪歴史学会は、以下の通り要望する。なおこれらについて、7月末までに文書に2de554fe.JPGより回答されたい。

(1)今回の調査地点について、遺構の重要性に鑑みただちに保存を決定し、保存を前a4c7a8e7.JPG提とした適切かつ十分な調査を実施した上で、すみやかに遺構保存の措置を取ること。
(2)今回の調査成果とその意義について、隣接地での調査成果をあわせ、和歌山県教育委員会としての見解をまとめ公表すること。
(3)旧県会議事堂(一乗閣)については今回の調査地への移転計画を撤回し、調査地は史跡に追加指定すること。
(4)2003年に確認された湯屋遺構など公園墓地駐車場予定地を史跡に追加指定すること。
(5)根来寺旧境内遺跡全般について、和歌山県が主導し、専門の委員から構成される調査・保存・活用を審議する委員会を設けること。同委員会において、根来寺旧境内遺跡の必要十分な保存が図られる追加指定計画を折り込んだ保存管理計画を策定すること。

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1964/03/22
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兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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