人を幸せにする人になろう

第3回委員会2012年5月17日

  【委員】史跡保存管理計画の検討対象(資料P1)が「菩提峠以西~蓮華谷川以東、前山以北」となっているが、検討対象自体は旧境内地(蓮華谷川以西~県道泉佐野岩出線付近までを含む)全体とすべき。
   旧境内地と(絵図等で)分かっている範囲を検討対象から外すためには、外す理由が必要。検討対象から外すとしたら、(大門池周辺の)市街地化した辺りか。
  【委員】(蓮華谷川以西の旧境内地を検討対象に含めることに、)異論ない。
  【委員】旧境内地全体を検討対象に含める。(蓮華谷川以西全体を)面的に扱うか、点的に拾うかは(検討の余地は)あるが。
  【委員】(第1章で蓮華谷川以西も検討対象となるので)旧県会議事堂移転と京奈和道についても、保存管理計画書内で記す。

【解説と論評】

 第3回の会議の資料では、岩出市は保存管理計画の検討対象区域について、「菩提峠より西側、蓮華谷川より東、前山より北側」とする。そして、「検討対象区域の区分の考え方」として、「現在史跡指定されている区域、今後追加史跡指定を予定している区域、その他の区域(史跡指定の必要性が高いと考えられる範囲)」の三つに分けてゾーニングをしようとしている。
 しかし、議論にあるように、保存管理計画の検討対象範囲は、事務局原案のように絞り込んだものとすることは却下され、旧境内地全体とすることで合意されたと読める。移転候補地である西辺の尾根より内側のコア部分のみならず、尾根を超えて拡大した段階の遺跡の範囲について、史跡に準じて取り扱いを定めておくこととなる。ようやく対象範囲が定まったということであり、中身の議論はこれからということになる。
 目次案では、「第3章 保存と管理」の「第4節 史跡管理の方法」で、「(1)地区区分」を示し、「(2)各ゾーンにおける保存管理方法」が示されることになっている。第1回の議論のように、遺跡の広がる旧境内地について、史跡ではないものの、それに準じた保存管理計画を立てようとすると、区域の区分や取り扱いの内容の検討など、大枠を定めるだけでも、かなりの詰めた議論が必要であろう。
 また、目次案では、最後の「第6章 今後の課題」のなかで、「第1節 追加指定に向けての課題」、「第2節 史跡指定地以外の区域の保全についての課題」が取り扱われる。根来寺遺跡の場合、既指定地の現状変更についての取り扱い規定を決めることもむろん必要ながら、なによりも史跡指定をめざす範囲をどのように定めるかが、「保存管理」の上でもっとも重要なことである。しかし現状では、最終章で簡単にふれるにとどめる予定であるのだろう。
 追加指定の目標設定は、「第3章 保存と管理 第4節 史跡管理の方法」の、遺跡をいくつかの地区に区分し、それぞれに保存管理方法を定めることと不可分な関係にあり、終章でなく、第3章そのものに盛り込むべきであろう。
 いずれにしても、事務局側の、蓮華谷川以東を保存管理計画の対象範囲とし、そのなかで追加指定にふれるという構想は、第3回目の議論をふまえれば、根本的に大きく転換しなければならないはずである。旧境内地、すなわち遺跡の範囲が保存管理計画の対象地となり、またそのなかでどう史跡の目標範囲を設定していくのかという課題に置き換わったということである。委員会の意向を尊重するならば、さらに相当な議論が必要となるはずであろう。

プラグイン

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

最新トラックバック

プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

バーコード

ブログ内検索