人を幸せにする人になろう
- 日々の雑多な感想や記録を書き留めていくことにします―2008年6月~―
第1回保存管理計画策定委員会2012年1月12日
【委員】旧県会議事堂の移転の話は、当然今回の委員会の議論と考えてよろしいのか。
【市教育長】県の審議会で議論されていると聞いている。この場では扱わない。報告事項としたい。
【委員】3次追加指定地は黄色の部分で(黒破線)、これは寺有地か。
【市】寺有地と里道です。
【委員】4次で民有地もありうるのか。(後略)
【市】現在は、3次追加指定までの計画です。
【委員】通常は4次・5次と追加していくべきものです。
【委員】保存管理計画策定の範囲だが、本来は史跡指定地内だけをするのが一般的だが、県としては、どう考えているのか。
【県】今回の保存管理計画では、根来の一般的な範囲として、東は菩薩峠から、西は大門から続く尾根から東の蓮華谷川までと考えている。この西端の地点に旧県会議事堂の移転を考えているのだから、この委員会でも議論すべきと思う。
【委員】地図に赤い線が入っているが、これは遺跡の範囲で、ここまで広げるとは考えられない。
【委員】基本的には、古絵図の範囲でいい。今回は寺有地から指定した。現実の作業の中でやったと思う。(中略)旧県会議事堂の移転の話もここで議論すべき。(中略)4次としての民有地の追加もあると考える。
【委員】本来ならば史跡指定地内であるが、今回は広げて考える。1種、2種、3種というような考え方で民有地も考える。
【委員】観光協会としても、大門から内側では何らかの規制が必要だと考えている。
【解説と論評】
現時点では、寺の所有地の範囲でしかなく、指定範囲としてまったく不十分である。民有地をやっていくのかどうかが議論されているが、根来寺遺跡の多くの子院を含めるかどうかということであり、当たり前のことである。
議論は、保存管理計画を定めておく範囲と、史跡指定を考える範囲とが混在するので、ご注意いただきたい。結論は、「基本的には古絵図の範囲」(≒遺跡範囲)を、保存管理計画の検討対象とすることになるようだ。ただし、描かれていないもの、東西の坂本や西山城なども構成要素として考慮すべきである。ともあれ、史跡の範囲が部分的であるので、現在は史跡になっていない古絵図に描かれた旧境内地全体について、保存管理計画の検討対象とすることは妥当な判断である。一応、史跡に準じて取り扱いを定めるということになろう。むろん、その区域設定や管理の中身、そしてどこまで指定をめざすという目標を掲げるか、それが問題であることは言うまでもないが。
根来寺遺跡は広大であり、すべてを指定することが現実的でないことは事実である。しかし、遺跡の構造、構成要素、地区ごとの特色などが整理され、未調査の部分もあるので、絵図や文献史側からの研究成果も踏まえ、総合的に議論し、あるべき指定範囲を設定しておくことが重要である。そして、それに現状、土地所有関係、緊急度などから、現実的に可能な範囲、将来的な課題にしておく範囲、また優先順位や順序などが定まっていくものである。
今回の保存管理計画策定に際して、やはり当面の目標としての指定範囲を明確にしておくべきであるし、現時点ではそこから漏れる埋蔵文化財包蔵地についても、地下遺構に影響のない工事であっても公費による確認調査を要請する区域とか、検出された遺構を可能な限り保存協力を求める区域など、取り扱いを定めておくべきだろう。
根来寺遺跡にとって、いまもっとも必要で重要な施策であり、保存管理計画策定は意義深い。根来寺や岩出市が渋っても、そうした目標を立てさせるのが、本来は和歌山県の仕事である。どこまでの議論がなされるのか、大いに関心をもって見守りたい。なお、挙げなかったが、「平地が子院と塔頭だらけとは知らなかった」とか、「絵図はどんなものが」という委員の発言には落胆せざるをえない。
【市教育長】県の審議会で議論されていると聞いている。この場では扱わない。報告事項としたい。
【委員】3次追加指定地は黄色の部分で(黒破線)、これは寺有地か。
【市】寺有地と里道です。
【委員】4次で民有地もありうるのか。(後略)
【市】現在は、3次追加指定までの計画です。
【委員】通常は4次・5次と追加していくべきものです。
【委員】保存管理計画策定の範囲だが、本来は史跡指定地内だけをするのが一般的だが、県としては、どう考えているのか。
【県】今回の保存管理計画では、根来の一般的な範囲として、東は菩薩峠から、西は大門から続く尾根から東の蓮華谷川までと考えている。この西端の地点に旧県会議事堂の移転を考えているのだから、この委員会でも議論すべきと思う。
【委員】地図に赤い線が入っているが、これは遺跡の範囲で、ここまで広げるとは考えられない。
【委員】基本的には、古絵図の範囲でいい。今回は寺有地から指定した。現実の作業の中でやったと思う。(中略)旧県会議事堂の移転の話もここで議論すべき。(中略)4次としての民有地の追加もあると考える。
【委員】本来ならば史跡指定地内であるが、今回は広げて考える。1種、2種、3種というような考え方で民有地も考える。
【委員】観光協会としても、大門から内側では何らかの規制が必要だと考えている。
【解説と論評】
現時点では、寺の所有地の範囲でしかなく、指定範囲としてまったく不十分である。民有地をやっていくのかどうかが議論されているが、根来寺遺跡の多くの子院を含めるかどうかということであり、当たり前のことである。
議論は、保存管理計画を定めておく範囲と、史跡指定を考える範囲とが混在するので、ご注意いただきたい。結論は、「基本的には古絵図の範囲」(≒遺跡範囲)を、保存管理計画の検討対象とすることになるようだ。ただし、描かれていないもの、東西の坂本や西山城なども構成要素として考慮すべきである。ともあれ、史跡の範囲が部分的であるので、現在は史跡になっていない古絵図に描かれた旧境内地全体について、保存管理計画の検討対象とすることは妥当な判断である。一応、史跡に準じて取り扱いを定めるということになろう。むろん、その区域設定や管理の中身、そしてどこまで指定をめざすという目標を掲げるか、それが問題であることは言うまでもないが。
根来寺遺跡は広大であり、すべてを指定することが現実的でないことは事実である。しかし、遺跡の構造、構成要素、地区ごとの特色などが整理され、未調査の部分もあるので、絵図や文献史側からの研究成果も踏まえ、総合的に議論し、あるべき指定範囲を設定しておくことが重要である。そして、それに現状、土地所有関係、緊急度などから、現実的に可能な範囲、将来的な課題にしておく範囲、また優先順位や順序などが定まっていくものである。
今回の保存管理計画策定に際して、やはり当面の目標としての指定範囲を明確にしておくべきであるし、現時点ではそこから漏れる埋蔵文化財包蔵地についても、地下遺構に影響のない工事であっても公費による確認調査を要請する区域とか、検出された遺構を可能な限り保存協力を求める区域など、取り扱いを定めておくべきだろう。
根来寺遺跡にとって、いまもっとも必要で重要な施策であり、保存管理計画策定は意義深い。根来寺や岩出市が渋っても、そうした目標を立てさせるのが、本来は和歌山県の仕事である。どこまでの議論がなされるのか、大いに関心をもって見守りたい。なお、挙げなかったが、「平地が子院と塔頭だらけとは知らなかった」とか、「絵図はどんなものが」という委員の発言には落胆せざるをえない。
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プロフィール
HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。