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博物館設置基準にかかわる博物館法改正

◆日本考古学協会から、平成21年10月7日の地方分権改革推進委員会第3次勧告において、都道府県による登録要件の審査を定めた博物館法第12条の改正が示され、日本の博物館に大きな影響を与える改悪になるもので、それぞれの学会から反対の意思表明をするよう呼びかけがあった。12月4日には、文部科学省生涯学習政策局社会教育課から、都道府県および政令市の教育委員会社会教育主管課に対して、第三次勧告を承けて法改正になれば、それぞれで要件を定めることになるとの通知が出されている。
◆大阪歴史学会では、これが文部科学省で検討が進められてきた、日本の博物館を今日的な要請に応えられる機能を充実させていこうという方向性と相反するもので、博物館を存立させる根本にかかわる要件について国が責任をもたず、機能後退につながる虞があると考え、12月委員会で反対の意見表明を行うことに決定した。
◆地方分権推進委員会は国の地方行政への規制を点検するものであるが、実態は、国が定めた要件を満たす登録博物館は限られ、多くが相当施設であって、公式には博物館と呼べないという程度の問題であり、実際には公立の資料館がそれぞれ機能し、その運営に国が規制をかけているわけではない。そして登録要件を緩和して登録博物館の数を増やすことが日本の博物館・資料館にとって良いこととは思えない。
◆「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」が2007年6月にまとめた『新しい001.jpg時代の博物館制度の在り方について(報告)』にしたがって、まずは国が登録制度について責任をもって基準を定め、また審査機関のあり方が検討されるべきである。しかし、この方向性は、2007年9月の第14回の検討協力者会議で、日本博物館協会への博物館登録基準の検討委任、そして第二次報告のとりまとめが図示され目指されたはずが(右図)、その後は、学芸員課程の見直しについて主に議論され、登録基準の見直しが会議で検討された形跡はなく、いきなり昨年の分権推進委員会の勧告に至る。
◆以上、『ヒストリア』の原稿だが、最後のところは裏が取れていないのだが、文部科学省のHPを追いかける限り、ニッパクキョウに検討委任し、それをフィードバックして、検討協力者会議で練られた形跡はない。どうしたんでしょうね。今回の博物館の見直しが、意気込みは大きかったが、あまり進展なしと新聞にたたかれ、委員からも2年間の時間はムダだったと言われ(どっかで見た)、ほとんどやる気を喪失し、学芸員課程の施行規則改正で終結させようとしてるんじゃないかと思う。で、分権委の勧告にしたがって都道府県に丸投げして幕引きをはかった。だが、さまざまな団体から反対表明が提出され(新聞で見たが切り取るのを忘れた)、さてと、文部科学省はどう対応するのか。

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雲楽
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男性
誕生日:
1964/03/22
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大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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