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大山誠一氏の改新論

◆『東アジアの古代文化』の2号分で、必要なところをちぎって保管していたものが発掘され出土。改新論関係の部分。山尾さん、森さん、別号の大山さん。
◆思想的背景+世代差+柔軟性、などで差がありますね。改新を否定的にみる立場は、あくまで天武朝。山尾さんのはひどい。が、ぜんぜんかというと、中央官制・地方統治制度は認める、その一方で、サト編成や戸籍や班田収授は否定する。意見の違いは、サトはやはり改新だろうという点と、1人1人の戸籍は庚午年籍としても、戸数の把握はあったという点。班田が軌道に乗るのは、たしかに持統期にくだるんだろう。面白いのは前期難波宮で、これが長柄豊碕宮だったら全面的に認めるが、これが孝徳期であることをなお疑うという点。大山さんが、この山尾さんの見方を徹底的に批判しています。で、それでいいと思うわけです。
◆森さんも、中間型だが否定論に近い方と表明している。
◆さて大山論。今後はこの方向だと思った。とても刺激に満ちたものだが、もっとも重要な点は推古期のクニーイナギ(県?)をちゃんと評価すべしという新たな「改新否定論」というところ。つまり、孝徳期に一気に進むという面はあるにせよ、前提となる地方支配として、国ーコホリーサト以前に、既に地方行政制度が始まっているという見方だ。これですね。
◆あとは天武万歳説の否定。ヤツはたいしたことない、という話もとても面白かった。
◆『条里制研究』に論文を書いた時も、50戸制の前に30戸制があったことが否定できないようだ、ということは知ったが、それを扱う能力はなく、そのままとしたが、このクニーイナギをどうやって追及するか、これ考古学の大きな課題です。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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