人を幸せにする人になろう

新納論文について

◆新納さんの指摘は、高さが基準で、それが第1。そして、甘粕先生が指摘していたとおり、高さ1に対16783e88.jpgして水平距離2の斜面がおよそ基本で、これで基本設計ができると。新納さんの話はさらに、少なくとも論文で取り扱っている巨大古墳については、盛り土が厚いため、崩壊しないように、いくぶん緩斜面にするので、その分、水平距離はやや長くなる。上石津ニサンザイは、造山と基本同じなのだが、斜面が緩い分、長くなる。おおむねそんなだ。
◆で、高さ1に対して水平距離2で作られたモデルで、墳頂4単位で、計16単位。これが造山やミサンザイだと。宮川先生らの8分割と共鳴する話になる。西村さんは、下段径・中段径・上段径が5:4:3と言っていたが、おおむねそうなる。
◆で、造山は単位長が4.5歩だから、直径144歩(半径72歩)となるというもので、これまでの6分割、8分割、10分割、12分割、それぞれ案はあれ、モジュール論として共通するもの。つまり、後円部直径は、この後円部半径16単位のグループでいえば、単位決定してやれば自動的に算出されることになる。造山で言えば、145歩とか150歩といったように大枠のきりのいい数字で定めるのではなく、積み上げだと(ただし造山の直径が200mは?)。だが、一方では墳丘長は、決められているように書いていますね。その調整のために基壇を付加するとか(墳丘規模規定は、誰も評価してくれませんね。5歩刻みで墳丘規模が細かくランキングされている、ってオレのオリジナルで、けっこう重要だと思うんですけどね~)。
◆わたしは、王墓は墳丘長・後円部直径・前方部幅とも、10歩単位で決めているとみてきたわけだが、今回の新納論文をうけて後円部径について見直す必要がある。だが、たとえば誉田御廟山であれば、新納さんでいえば、5歩×18×2=180歩だ。結果だといわれたらそのとおりか。まあ、もうすこし考えてみる。
◆新納さんは、いまのところ墳丘長については、ランキング結果による決定事項として認めているようだ。それは一致するのだろう。そのなかで、伝統的な土木技術(複数系統があってよい)のなかで、いかに割り付けるか、というところで考え方が分かれてくる。とはいえ、新納さんの議論をたたき台に追求していくことで、正しい結論に達すればよい。いつもながら、あの人はパイオニアである。
◆いまだに出ない青木書店の古墳時代本のなかで、実は古墳の築造を書いた。そのなかでは、古墳の設計原理はいまだよくわからんと書いた。オレ自身はやっていないのである。ひとつだけいうと、新納さんは傾斜論で(傾斜分布は示されていないけど・・・)平面は結果に過ぎないみたいな言い方ではあるが、やはり単位長があり、中心点間距離があり、16単位とか18単位があることで、やはり王墓の設計「型」は定義されるのであり、それをモデルとする複製は、やっぱりあるんだろう。

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雲楽
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男性
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1964/03/22
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大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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