人を幸せにする人になろう

近藤義郎先生の蔵書

◆2006年9月のことだったか、新納先生の造山古墳の測量調査の手伝いに行った際、澤田秀実氏と近藤義39cc188b.JPG郎先生を訪ねた。久しぶりに先生にお会いし、楽しくおしゃべりをした。
◆2007年春、大阪市文化財協会の松本啓子氏を通じて岡山に来いと言った連絡がきたが、不義理をした。で2007年8月、澤田さんから連絡が入り、近藤先生から呼び出しだというので出向いた。1年前とうってかわり体が弱っているようでショックを受けた。春に肺炎をわずらい、入院をして、すっかり体重が落ちたとのことであった(写真は070930)。
◆近藤先生の相談というのは、いまお宅にある蔵書や資料をどうするか、あちこちに頼んでみたが、思うようにならないので、お前、引き受けてくれ、という話であった。
◆それから澤田さんと、引取先について打ち合わせ、蔵書については、岸本が整理と処理をすることになる。先生の蔵書は、岡山大学退官時に釜山大学にほとんど寄贈されている。釜山に行ったとき、申先生に見せていただいたことがある。なので、報告書は退官後に寄贈されたものが多いが、しかし先生は退官後も旺盛に調査をし報告書を出し著書を公刊されてきた。つまりなお研究に必要なものは手元に置かれていたので、貴重な研究書もなお多く含まれていた。
◆2007年秋を中心に、つごう7回+1回だったか、岡山に通い、データを入力し、箱詰めし、大阪市大に運び込んだ。けっこう精神的につらい時期だったので、岡山通いは楽ではなかった。なんでこんなことしてるんだろうと思うこともないわけではなかった。いつも車のなかでZARDを聞いていた。妙に結びついているのだ、わたしのなかでは。岡山通い=ZARD・・・=メスリ山編集。
◆岡大関係者、教え子もたくさんいるにもかかわらず、大事なことをわたしに託されたことを、ありがたい話と思い、近藤家の家のなかをすっきりさせるお手伝いと思ってやってきた。作業は澤田さんとくらしき作陽の野口友代さんと一緒にやった。
◆最終的に大阪市大にない図書については、うちの大学にいただけることになった。ありがたい話である。2008年、学生をつかって図書館に入っている本かどうかを仕分ける作業を続けたが、いまのと5d0d8205.jpgころ6割にとどまり未完である。整理の済んだものは、受け入れにまわっている。すべて「近藤義郎」のスタンプを押している。それと重複本でも、処分すべきでないもの、手元におかれて長年読み込んでおられたようなものについては、いま岸本研究室の一画に配架している。
◆昨日(07月05日)、近藤先生のお宅を訪ね、整理状況を報告し、最終的な処理方法について打ち合わせた。なかなか当初考えたような仕分けを完全にして、きちんとし仕上げるにはなお時間がかかってしまうし、しかしあまり長引くのもよくない。そこで、新たな提案をして了承いただいた。この間、本に埋もれて、なかなか進まないこと、かつ近藤家にも申し訳ないと、心理的な負担も大きかったが、新たな提案で区切りがつき、このあとはサクサクと整理したい。34b714a5.jpg
◆最終的に、この年度末までに、作成途上のリストを完成させ、決着をさせる予定である。
◆先生は、昨年夏に青木書店から刊行された『近藤義郎と学ぶ考古学通論』を、体のつらさを押さえて必死に校正を仕上げられた。改めて先生の信念の強さを感じた。近藤先生の生命力はきっとスゴイと祈らずにはおれない。
【追記091220】先生は4月に逝去され、半年間、それは伏せられていた。10月に訃報が出たが、12月、別に朝日に追悼記事が出たのでアップしておこう。11月に『遺跡学研究』に書いた小文、書き上げて、先生に献呈する一文を入れようかと思ったが、おこがましいのでやめた。前方後円墳を研究しているわたしは、先生の弟子のはしくれと思っている。先生はじめ、諸先輩の研究を乗り越えていくのが、われわれの責務だ。先生には、三角縁神獣鏡の年代論について「あぶないぞ」、みたいなことを言われたことを覚えている。卑弥呼は考古学では出てこない、とも。先生に、わたしの前方後円墳研究のコメントをいただけなかったのは、残念である。しかし、前方後円墳そのものをやっているという意味で、端くれではあるが、先生のご研究の柱を正統に継承しているとも思っている。

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HN:
雲楽
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60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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