人を幸せにする人になろう

大阪市の文化財はどうなっている?

◆うちの生活科学部に建築史の谷直樹先生がいらして、大阪市の住まいのミュージアム館長であり、文化庁の審議会委員もやっている。文学部の教員は、かつて難波宮保存問題の時、大阪市を訴える側であったことから、大阪市大でありながら、大阪市の文化財行政の役がまわってくることもない。いまも。それに対し、谷先生は、大阪市とのパイプも、文化庁とのパイプもあるわけだ。
◆今日、たまたまある会合で杉本町から阪和線に乗ると、同じ車両に、うちの近世史の先生と谷先生が話をしているのにでくわし、特別史跡大阪城跡の調査がなんでできないんか、みたいな話になった。
◆「大阪市はいつまで難波宮を掘るのか、大阪城へシフトしたら」というのが前からのオレの主張だが、大阪市ってところは、教育委員会が弱く、自分の所の文化財をどう活用していくのか、というようなことを考えているようには、外から見えない。
◆ゆとりとみどり振興局は集客しか考えないし、大阪市教育委員会は試掘確認に追われ、天守閣は展示やし、研究所は発掘調査、誰も大阪城を掘ろうなどと言わない。むろん考えている人はいるのだろうが、大阪市として大きな方針を定めて、そういう体制を作って、といった方向付けをしていくようなリーダーシップが働かないわけだ。きっと、市長や財界などから声が上がり、上から命令が来ないと動かないんだろう。
◆市文協も研究所と名乗った以上、自分のところの文化財をこれからどうしていくのか、掘り屋を脱却してほしいものだ(とはいえ財団・・・)。そういう仕事を研究所にさせるためにも、教育委員会の体制と指導力が不可欠なのだが、各所に多くの人材がいても、オール大阪市として動くという感じではまったくない。
◆大学も社会貢献が言われ、市大だったら大阪市の行政と連携する、一緒にやることで互いの実績にもなる、そういうタイアップが言われて久しい。それはそう思う。その意味で、こっちの働きかけも弱いんだろう、それは認める。だが、それは職務の一部にはなりうるが、本務は別だ。それに対して教育委員会でしょ、市の研究所でしょ、そっちは本務なわけだ。そこが動かないとしかたがない。大阪城を掘るかどうかは別にして、大阪市の文化財の保存と活用についての課題をチェックし、マスタープランを立て、計画を立てて取り組んでいく、そういう施策をになう行政能力が弱いといわざるをえない。
◆とはいえ、こっちも仕掛ける必要はあるかもな。

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雲楽
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60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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