人を幸せにする人になろう

11月7-8小豆島石のサミット2015(11)

◆ディスカッションでは世界遺産の話が振られた。世界で、その土地の伝統(例えば昔から石やレンガで家を造ってきたところ)、石材の特性、それにもとづく石の加工技術、石による高い城壁や石垣や建物を実現する文化が、それぞれの地域で発展する。
◆なので、世界一とかを競うこともあまり有益でなく、それぞれの石積み技術がとことん発達したときに、どこまでの実現がなされたか、それぞれに価値があろう。むろんピラミッドだって、古代メソポタミアの宮殿であっても、中世のヨーロッパの城にせよ、サグラダファミリアなど巨大な教会にしろ。
◆しかし、日本の近世の石垣構築の技術もまた、特異に発達し、30mを越える高石垣を実現したこと、また城郭の規模による、その石垣の圧倒的な量感。そこに反りがあり、平面的にも折れを入れ、内反りがある。あの角部が連続する日本の近世城郭は、そこにひとつの技術に裏付けられた美しさもある。ひとつの様式を確立している。世界のほかにはないもの。そして誰しもが、大阪城に足を踏み入れたとき、幅のある深い堀、そのむこうの高石垣の美と迫力、おそらくそれは空堀の底とか、天守閣の下に立ったとき、その感を強くすると思うが、そういう迫力はみな認めるのではないかと思う。
◆むろん天守が現存する姫路城が世界遺産で、日本を代表するのだろう。が、しかし大阪城は、1610年代までの築造技術をふまえ最後にして(事実はちゃうんかな)最大のものなのである。そして、上部を失っても、ジャンルは日本の近世城郭で同じでも、土木技術としての高石垣のナンバーワンとして、世界遺産になりうるものだと思っている。そう評価されておかしくないと。
◆そしてまた、先に、それぞれの地域で石を積む土木技術が発達して、それぞれに評価す べしとしたが、そこは、同じような石垣の高さの比較も客観的にするべきだろう。なにも世界一でなくったっていい。高さという指標でいっても、しかしそれは世界クラスだろう。さらにはそういう高石垣が総延長○キロにわたり、運ばれた石は100万個とか、その総量、全体ボリューム、そういうものをつきあわせていくと、ざらに匹敵するものがころがっていることはおそらくないだろう。天守閣の石垣に1トン爆弾が直撃しても壊れてないですよ。
◆そしてまた、それを実現した花崗岩石割技術もまた、それとセットをなすものなのである。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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