人を幸せにする人になろう

大森実の本

◆むか~し買って読んだ講談社文庫の大森実(毎日新聞記者)の戦後史の本をなぜだか、読んでいる。10巻本だが、1・2巻がある。
◆昭和20年、ドイツがもうすぐ負けるという段階での、対日講話、対米講話について、ドイツのように本土決戦になることを防ぐべく、外務省などの公式ルートとは異なる道をさぐっていた動きが紹介されている。結局は、スイス、ベルンにおけるアレンダレスとの交渉もまったく取り上げられず、そうした努力はフイになり8月15日を迎えるという、まるで麻生政権のような、追い込まれてのポツダム宣言受諾に至る。ダレスは戦後CIA長官となるが、その活動はあたりまえだが戦時中に始まっていたわけだが、日本の為政者は、ダレスがルーズベルト大統領に直結する人物であり、重要なパイプになることがわからなかったのである。
◆ルーズベルトが死にトルーマンに変わり、原爆を落とすことが重要課題となり、アメリカ側の姿勢も変わるのだろうが、アメリカも望んでいた、より早い終戦は実現しなかった。ソ連の対日参戦の準備が整うまでのあいだに決着をつけたいアメリカとの間で、話が整う可能性は0ではなかったに違いない。
◆まあ、面白いのだが、学術的コメントができるわけではない。気になるのは、例えば、そういうスイスの海軍武官が独自に講和の道を探る根本は、ドイツのようにベルリン陥落というような悲惨な事態を防ぐということなのだが、彼らの考えはむろん正しとはいえ、そこには沖縄が入ってこないことだ。硫黄島と変わりがないのだ。あくまで本土が焼土となることを防ぎたい、ということであって、4月1日から3ヶ月にわたる沖縄戦はいたしかたないと考えているのだ。
◆それから児玉誉士夫の児玉機関の話と、児玉との対談記録が面白い。児玉は、国民あっての国家、国家あっての天皇であることを、為政者も天皇も忘れているという。天皇はけしからんと。たとえGHQが天皇を戦犯として扱わなかったとしても、天皇は謝るべきだった、そして退位して、戦争で死んでいった国民の慰霊に生涯をささげるべきだった、それでないと血の通った人間ではないと。まったく正論だ。

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雲楽
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男性
誕生日:
1964/03/22
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大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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