人を幸せにする人になろう

イラク国立博物館

◆博物館概論の授業のため、ネットを検索していると、文化財流出の件で、実に詳細に、ニュースソースも明示しての記事に行き当たる。
◆それを見ていて、イラク戦争開始前に、ACCPというアメリカの美術品協会みたいなところが、国防総省に対して、文化財の流出を厳格に取り締まってくれるなと要望を出したのだとか。博物館の資料などが奪われると、それを取り締まろうとすると表に出ないではないか、むしろ報奨金を支払って表に出し、俺たちに買わせろ、そしたらメトロポリタンに、メソポタミアの一級資料が集められるではないか、と。政府はそれに屈服したと。
◆事実、イラク国立博物館は、計画的用意周到にごっそりやられた、と。14万点といったか。サダムフセインは国外流出を厳格に取り締まっていたのに。ナチスの略奪した美術品は、世界の主要美術館が買い求め、隠匿していることが判明しているが、それにあたっていたドイツの特務機関の関係者の自宅から、名画がごっそりと出てきたという記事は記憶に新しい。戦後70年なんですけど。イラク国立博物館から流出した遺物も、世界の主要博物館が購入し、何十年と隠匿していくのでしょう。流出したら最後、元に戻ることは困難であろう。
◆エジプトの棺桶やミイラをヨーロッパの博物館で見るとイヤな思いがして素通りする。エルミタージュでも、中国といっても西域なんだろうが、仏教壁画をこれでもかと剥がしたものを展示しているのを見て、実に痛々しかった。ペルガモン博物館にある、ゼウスのなんとかというやつ、ペルガモンの遺跡を検索すると、一部の階段しか残っていない現地の写真が出てくる。暗澹たる気持ちになる。怪盗紳士アルセーヌルパンがいるなら、一夜にしてエルギンマーブルを大博物館から盗み出し、アテネの新アクロポリス博物館に届けてくれないもんだろうか。

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プロフィール

HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。

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