人を幸せにする人になろう
- 日々の雑多な感想や記録を書き留めていくことにします―2008年6月~―
上本町で呑む
◆それから帰り。なんで、モノレールの駅に行くのに、あんな迂回させるのかね。アホみたい。エキスポランドがあったか
ら?で、アマノジャクなので、千里中央には向かわず、大日に行き、谷町線で谷町9丁目まで、そこから近鉄百貨店に行き、呑む。
◆そこからが、まずかった。またケンカをしました。なんでケンカをしたのでしょうか。むこうは、人間も地球上の生き物で、4~5回の絶滅の危機のようなものが起こると、なくなるんだ、と言う。オレは、いや隕石が墜落したらしゃーないけど、オサルではないから、けっこう生き延びる手段を見いだすんじゃないか、と主張。呑み屋の終盤からずううっとイガミあい、互いに主張をまげず、近鉄電車は別車両となる。なにをやっているんでしょうか。
◆そこからが、まずかった。またケンカをしました。なんでケンカをしたのでしょうか。むこうは、人間も地球上の生き物で、4~5回の絶滅の危機のようなものが起こると、なくなるんだ、と言う。オレは、いや隕石が墜落したらしゃーないけど、オサルではないから、けっこう生き延びる手段を見いだすんじゃないか、と主張。呑み屋の終盤からずううっとイガミあい、互いに主張をまげず、近鉄電車は別車両となる。なにをやっているんでしょうか。
2012年10月7日 、民博
◆午後、レッカキョウで住まいのミュージアムに行く企画(閉じる話はどうなっている?)に誘われており、仕事柄はそっ
ちへ行くべきなのだが、一方で、カミサンから、民博の織物展へ行きたいとの要望にも応えなきゃいけない。で、民博へ。
◆民博に行ったのは・・・、小学校の時と、大学に入って1回、それから赤道アフリカの仮面展というのに1回、それくらいで、4回目かも。で、いつも常設展はちゃんと回っていない。いい機会である。しかし、結局、閉館までで回りきれず、1/3くらいは駆け足。まっとうに見ていたら1日仕事だ。
◆実は千里中央から歩く。モノレール二つ分やったら歩けるやろと。千里中央公園を抜け、阪急千里線の通る谷部へ下ると、あとは万博会場の台地に上がればよい。1970年から40年、樹木もけっこう大きくなり、まあ、ええ公園ですな。
◆民博、織物、興味はないことはないが、展示物の性格からして、動かないハタを見ていてもわからんが、動画を見れ
ば理解しやすい。けっこう人はいました。途中、学芸員の?話が始まり大勢がそっちへ行き、会場の人が少なくなり見やすくなった。しばらくして終了し、聴衆だった人々がまた会場に降りてくると、おや、京都市の堀君がいるではないか。むこうはちゃんと挨拶してくれているのに、オレは聚楽第の石垣はどうなると質問し、あとからカミさんに怒られる。が、京都府が・・・、というのもね~。渡邊亭と同じですな。ごめんな。ちょっとネゴロのこともあり、センシティブになっとるのかも。聚楽第の石垣、新聞の写真だけだが、けっこう迫力ありましたね。
◆民博に行ったのは・・・、小学校の時と、大学に入って1回、それから赤道アフリカの仮面展というのに1回、それくらいで、4回目かも。で、いつも常設展はちゃんと回っていない。いい機会である。しかし、結局、閉館までで回りきれず、1/3くらいは駆け足。まっとうに見ていたら1日仕事だ。
◆実は千里中央から歩く。モノレール二つ分やったら歩けるやろと。千里中央公園を抜け、阪急千里線の通る谷部へ下ると、あとは万博会場の台地に上がればよい。1970年から40年、樹木もけっこう大きくなり、まあ、ええ公園ですな。
◆民博、織物、興味はないことはないが、展示物の性格からして、動かないハタを見ていてもわからんが、動画を見れ
信太山の夜は更けて―和気も遠くなりにけり
◆今年の和泉市調査は和気。中世の館で有名。前にも書いたが、今回は、ひたすら外を歩くことにした。中日はコース
ガイダンスがあり、昼までで、大学に行って日本史のガイダンスをやり、作業終了頃に戻る。
◆久保津土井という、槇尾川から取水する幹線水路があり、そこから、条里の大区画に沿って、規則的に東から西へ流す、東西方向の水路が通る。こういうの、知識では知っていても、体験的に見たのは初めてか。久保津土井って、いつできるのでしょうね。6・7世紀ではないかという話をした。これがないと条里を切らないだろう、というくらい。ふつうはもっとあと、と考えるのかもしれませんね。
◆最終日にひとつ言い忘れたこと。ここも、和気が近世には支配が二分され、本村と郷荘に区分される。つまり、本村は軽部郷、郷荘は坂本郷なのだ。で、久保津土井で、坂本郷諸村と和気は結ばれてはいるが、しかし史料で出てくるのは、フジュフセ派の史料など仏教関係なのだが、神社祭祀をめぐるまとまりについての文書は出てこない。ちょうど祭りの一週間前で、だんじりを準備しているところで、いまは郷荘連合に和気も属している。水利からは自然なのだが、実は新しいのではないか。近世に支配が二分されているように、坂本郷の郷荘神社の氏子ではなかったのではないだろうか。郷界はかなり効いているのでは。郷荘はあくまで坂本郷であって、かといって軽部郷は三河川で分断されて、そっちのまとまりも見えない。けっこう独立独歩的な村だったかも、と思った。
◆久保津土井という、槇尾川から取水する幹線水路があり、そこから、条里の大区画に沿って、規則的に東から西へ流す、東西方向の水路が通る。こういうの、知識では知っていても、体験的に見たのは初めてか。久保津土井って、いつできるのでしょうね。6・7世紀ではないかという話をした。これがないと条里を切らないだろう、というくらい。ふつうはもっとあと、と考えるのかもしれませんね。
◆最終日にひとつ言い忘れたこと。ここも、和気が近世には支配が二分され、本村と郷荘に区分される。つまり、本村は軽部郷、郷荘は坂本郷なのだ。で、久保津土井で、坂本郷諸村と和気は結ばれてはいるが、しかし史料で出てくるのは、フジュフセ派の史料など仏教関係なのだが、神社祭祀をめぐるまとまりについての文書は出てこない。ちょうど祭りの一週間前で、だんじりを準備しているところで、いまは郷荘連合に和気も属している。水利からは自然なのだが、実は新しいのではないか。近世に支配が二分されているように、坂本郷の郷荘神社の氏子ではなかったのではないだろうか。郷界はかなり効いているのでは。郷荘はあくまで坂本郷であって、かといって軽部郷は三河川で分断されて、そっちのまとまりも見えない。けっこう独立独歩的な村だったかも、と思った。
第3回委員会2012年5月17日
【委員】史跡保存管理計画の検討対象(資料P1)が「菩提峠以西~蓮華谷川以東、前山以北」となっているが、検討対象自体は旧境内地(蓮華谷川以西~県道泉佐野岩出線付近までを含む)全体とすべき。
旧境内地と(絵図等で)分かっている範囲を検討対象から外すためには、外す理由が必要。検討対象から外すとしたら、(大門池周辺の)市街地化した辺りか。
【委員】(蓮華谷川以西の旧境内地を検討対象に含めることに、)異論ない。
【委員】旧境内地全体を検討対象に含める。(蓮華谷川以西全体を)面的に扱うか、点的に拾うかは(検討の余地は)あるが。
【委員】(第1章で蓮華谷川以西も検討対象となるので)旧県会議事堂移転と京奈和道についても、保存管理計画書内で記す。
【解説と論評】
第3回の会議の資料では、岩出市は保存管理計画の検討対象区域について、「菩提峠より西側、蓮華谷川より東、前山より北側」とする。そして、「検討対象区域の区分の考え方」として、「現在史跡指定されている区域、今後追加史跡指定を予定している区域、その他の区域(史跡指定の必要性が高いと考えられる範囲)」の三つに分けてゾーニングをしようとしている。
しかし、議論にあるように、保存管理計画の検討対象範囲は、事務局原案のように絞り込んだものとすることは却下され、旧境内地全体とすることで合意されたと読める。移転候補地である西辺の尾根より内側のコア部分のみならず、尾根を超えて拡大した段階の遺跡の範囲について、史跡に準じて取り扱いを定めておくこととなる。ようやく対象範囲が定まったということであり、中身の議論はこれからということになる。
目次案では、「第3章 保存と管理」の「第4節 史跡管理の方法」で、「(1)地区区分」を示し、「(2)各ゾーンにおける保存管理方法」が示されることになっている。第1回の議論のように、遺跡の広がる旧境内地について、史跡ではないものの、それに準じた保存管理計画を立てようとすると、区域の区分や取り扱いの内容の検討など、大枠を定めるだけでも、かなりの詰めた議論が必要であろう。
また、目次案では、最後の「第6章 今後の課題」のなかで、「第1節 追加指定に向けての課題」、「第2節 史跡指定地以外の区域の保全についての課題」が取り扱われる。根来寺遺跡の場合、既指定地の現状変更についての取り扱い規定を決めることもむろん必要ながら、なによりも史跡指定をめざす範囲をどのように定めるかが、「保存管理」の上でもっとも重要なことである。しかし現状では、最終章で簡単にふれるにとどめる予定であるのだろう。
追加指定の目標設定は、「第3章 保存と管理 第4節 史跡管理の方法」の、遺跡をいくつかの地区に区分し、それぞれに保存管理方法を定めることと不可分な関係にあり、終章でなく、第3章そのものに盛り込むべきであろう。
いずれにしても、事務局側の、蓮華谷川以東を保存管理計画の対象範囲とし、そのなかで追加指定にふれるという構想は、第3回目の議論をふまえれば、根本的に大きく転換しなければならないはずである。旧境内地、すなわち遺跡の範囲が保存管理計画の対象地となり、またそのなかでどう史跡の目標範囲を設定していくのかという課題に置き換わったということである。委員会の意向を尊重するならば、さらに相当な議論が必要となるはずであろう。
旧境内地と(絵図等で)分かっている範囲を検討対象から外すためには、外す理由が必要。検討対象から外すとしたら、(大門池周辺の)市街地化した辺りか。
【委員】(蓮華谷川以西の旧境内地を検討対象に含めることに、)異論ない。
【委員】旧境内地全体を検討対象に含める。(蓮華谷川以西全体を)面的に扱うか、点的に拾うかは(検討の余地は)あるが。
【委員】(第1章で蓮華谷川以西も検討対象となるので)旧県会議事堂移転と京奈和道についても、保存管理計画書内で記す。
【解説と論評】
第3回の会議の資料では、岩出市は保存管理計画の検討対象区域について、「菩提峠より西側、蓮華谷川より東、前山より北側」とする。そして、「検討対象区域の区分の考え方」として、「現在史跡指定されている区域、今後追加史跡指定を予定している区域、その他の区域(史跡指定の必要性が高いと考えられる範囲)」の三つに分けてゾーニングをしようとしている。
しかし、議論にあるように、保存管理計画の検討対象範囲は、事務局原案のように絞り込んだものとすることは却下され、旧境内地全体とすることで合意されたと読める。移転候補地である西辺の尾根より内側のコア部分のみならず、尾根を超えて拡大した段階の遺跡の範囲について、史跡に準じて取り扱いを定めておくこととなる。ようやく対象範囲が定まったということであり、中身の議論はこれからということになる。
目次案では、「第3章 保存と管理」の「第4節 史跡管理の方法」で、「(1)地区区分」を示し、「(2)各ゾーンにおける保存管理方法」が示されることになっている。第1回の議論のように、遺跡の広がる旧境内地について、史跡ではないものの、それに準じた保存管理計画を立てようとすると、区域の区分や取り扱いの内容の検討など、大枠を定めるだけでも、かなりの詰めた議論が必要であろう。
また、目次案では、最後の「第6章 今後の課題」のなかで、「第1節 追加指定に向けての課題」、「第2節 史跡指定地以外の区域の保全についての課題」が取り扱われる。根来寺遺跡の場合、既指定地の現状変更についての取り扱い規定を決めることもむろん必要ながら、なによりも史跡指定をめざす範囲をどのように定めるかが、「保存管理」の上でもっとも重要なことである。しかし現状では、最終章で簡単にふれるにとどめる予定であるのだろう。
追加指定の目標設定は、「第3章 保存と管理 第4節 史跡管理の方法」の、遺跡をいくつかの地区に区分し、それぞれに保存管理方法を定めることと不可分な関係にあり、終章でなく、第3章そのものに盛り込むべきであろう。
いずれにしても、事務局側の、蓮華谷川以東を保存管理計画の対象範囲とし、そのなかで追加指定にふれるという構想は、第3回目の議論をふまえれば、根本的に大きく転換しなければならないはずである。旧境内地、すなわち遺跡の範囲が保存管理計画の対象地となり、またそのなかでどう史跡の目標範囲を設定していくのかという課題に置き換わったということである。委員会の意向を尊重するならば、さらに相当な議論が必要となるはずであろう。
まっとうと思うことを言い続けるしか
◆あんまり付け加えることはないので、もうこのくらいにしよう。オレにできることは、これくらい。まだ、『ヒストリア』の原稿も未完だが、明日はちょっと続けられないかもしれないので、月曜日、祝日にもちこしだろう。『考古学研究』は10月中くらいと言われている。そこまでだ。
◆オレは性善説に立つ。人を信じる。あとは見守るばかりだ。このブログがどこまでの影響力をもつかは知らない。が、そこそこ、業界関係者は見ているだろう。何より、文化庁協議の資料を見ると、オレのブログでこんなことを書いているが、と県の資料に出てくるので、当事者も見ているだろう。手の内はすべてさらけだしている。なにも隠すことではない。要望書も『ヒストリア』に掲載するし、時間の問題である。むろん、公的な要望書、『ヒストリア』での書きぶり、そしてこのブログでの書きぶりは違う。オレがどう考えているか、どう思っているか、すべてわかるだろう。
◆当事者はどう受け止めてくれるか。文化庁はどう受け止めるか。また、とくに動くことはなくとも、このブログを見ている人たちは、それなりに受け止め、全面的にオレに賛成するのでないにしても、和歌山県についての印象をもつであろう。どうよ、と言ってくれる人もいるかもしれない。
◆オレは性善説に立つ。たぶん県は、いろいろ聞いているように、意図的に断層調査も簡略で済ませ、層位についても改竄しているのだろう。たぶん確信犯だと思う。だけど、性善説に立つ。ふと、はたと、まずい、と思ってくれるのではないかと希望する。口汚く叩きたいとは思わない。突き放してもしょうーがない。和歌山県の文化財保護を、これからも担っていってもらわなければならないから。
【追記】京奈和までは知らん。
◆オレは性善説に立つ。人を信じる。あとは見守るばかりだ。このブログがどこまでの影響力をもつかは知らない。が、そこそこ、業界関係者は見ているだろう。何より、文化庁協議の資料を見ると、オレのブログでこんなことを書いているが、と県の資料に出てくるので、当事者も見ているだろう。手の内はすべてさらけだしている。なにも隠すことではない。要望書も『ヒストリア』に掲載するし、時間の問題である。むろん、公的な要望書、『ヒストリア』での書きぶり、そしてこのブログでの書きぶりは違う。オレがどう考えているか、どう思っているか、すべてわかるだろう。
◆当事者はどう受け止めてくれるか。文化庁はどう受け止めるか。また、とくに動くことはなくとも、このブログを見ている人たちは、それなりに受け止め、全面的にオレに賛成するのでないにしても、和歌山県についての印象をもつであろう。どうよ、と言ってくれる人もいるかもしれない。
◆オレは性善説に立つ。たぶん県は、いろいろ聞いているように、意図的に断層調査も簡略で済ませ、層位についても改竄しているのだろう。たぶん確信犯だと思う。だけど、性善説に立つ。ふと、はたと、まずい、と思ってくれるのではないかと希望する。口汚く叩きたいとは思わない。突き放してもしょうーがない。和歌山県の文化財保護を、これからも担っていってもらわなければならないから。
【追記】京奈和までは知らん。
和歌山県にとって
◆下2件は、『ヒストリア』の原稿として書いたもの。第3回の委員会についても、書き上げ次第、アップします。それから第1回と第2回に戻り、再度、書き直す必要がある。既に進めていますが、完了すればブログも置き直します。最初の原稿なので、頭がカッカしている状態なので、言い過ぎのところや、誤りもあります(とくに第1回)。まあ、気持ちを反映しているわけです。しかし公刊されるので、きちんと訂正はしますので。
◆本日、土曜日、朝10時前から夜の10時まで、根来漬けでした。で帰りの車のなかでいろいろ考えていました。是非とも言いたいこと、和歌山県民にとって、根来寺遺跡は三内丸山遺跡であり、吉野ヶ里遺跡なんだ、ということ。それだけの価値がある。吉野ヶ里は国営公園だから知らないけれど、三内丸山は、毎年、県費を投入するけれども、それを上回る収入を持続しているという。むろん、あのように整備するかどうかは別だが、それだけの遺跡である!、ということだ。
◆もひとつ、史跡指定は、一定程度の価値があるのは必要条件。ボーダーラインにある遺跡はたくさんある。そのなかで、史跡になっていくかどうかは、地元の熱意なのである。むろん、一定のところに達していないといけないわけだが、きっちりしたバーがあって、「その上だから合格、史跡にします、おめでとう」、「これは下だからダメ」というものではないのだ。そんなんやったら、機械に判定させればいいのだ。和歌山県文化遺産課とかの行政は、行政だから、むろん、一定の基準をもって公正に取り扱いを決める必要があり、そうしているわけだが、世の中の具体の案件は、それですべて割り切れるわけではない。ものごとを決めるのは、理屈+人のハートなのである。原子力なんて使わない方がいいに決まっていても、存在するのである。脱線したが、遺跡を守るのは、遺跡の価値判断+工事内容から導かれる一定の合理的結論だけではなく、「これは壊すわけにはいかないだろう、なんとか頑張ろう」という担当者の熱意なのである。人間なのである。それが決める。担当者の情熱が、ボーダーにあるものを史跡にする。国の調査官に食いついて、どんだけこの遺跡が重要か、同類のものと比べてこんな特色があるとか、説得的な資料をきちんと用意し、あしらわれても2度・3度しつこく粘り、一方、役所のなかでも整備活用する方針について上層部を説得し、そしてまた、国の調査官には、ちゃんと管理していく体制も整っているとか、整備計画も考えてもらっているとか、必死に訴える。
◆そうすると、「そこまで言われたらしゃーないな~」となる。むろん、調査官も課内で、課長を説得する必要があり、案件の価値について十分いけるかどうかの確信をもてなければ、容易には返事はしないし、だめなものはだめではある。しかし繰り返すが、多くはボーダー、それがめでたく史跡になるかどうかは、人間の熱意なのである。
◆根来は既に史跡だ。誰しもその価値を疑うことはない(史跡になってんだから、という意味ではないですよ)。しかし、誰にも愛されず、面倒くさがられ、仕方なくやっているだけ。岩橋千塚には熱心でも、根来には愛着や情熱はない。一応史跡なので、ちょっとずつは進むだろうし、史跡になっていない範囲について簡単に壊すわけにもいくまい。保存管理計画で、旧境内地についてゾーニングしていく意義は大きい(中身はわからないが)。が、そんなんだから、問題ないものは別にして、開発か保存かという局面になった時、熱意がないんだからダメでしょうね。
◆和歌山県民のみなさん、根来寺遺跡は三内丸山遺跡であり吉野ヶ里遺跡なんです。が、県の文化財保護という公益の番人であるべき文化遺産課は、こんなんなんです。
◆本日、土曜日、朝10時前から夜の10時まで、根来漬けでした。で帰りの車のなかでいろいろ考えていました。是非とも言いたいこと、和歌山県民にとって、根来寺遺跡は三内丸山遺跡であり、吉野ヶ里遺跡なんだ、ということ。それだけの価値がある。吉野ヶ里は国営公園だから知らないけれど、三内丸山は、毎年、県費を投入するけれども、それを上回る収入を持続しているという。むろん、あのように整備するかどうかは別だが、それだけの遺跡である!、ということだ。
◆もひとつ、史跡指定は、一定程度の価値があるのは必要条件。ボーダーラインにある遺跡はたくさんある。そのなかで、史跡になっていくかどうかは、地元の熱意なのである。むろん、一定のところに達していないといけないわけだが、きっちりしたバーがあって、「その上だから合格、史跡にします、おめでとう」、「これは下だからダメ」というものではないのだ。そんなんやったら、機械に判定させればいいのだ。和歌山県文化遺産課とかの行政は、行政だから、むろん、一定の基準をもって公正に取り扱いを決める必要があり、そうしているわけだが、世の中の具体の案件は、それですべて割り切れるわけではない。ものごとを決めるのは、理屈+人のハートなのである。原子力なんて使わない方がいいに決まっていても、存在するのである。脱線したが、遺跡を守るのは、遺跡の価値判断+工事内容から導かれる一定の合理的結論だけではなく、「これは壊すわけにはいかないだろう、なんとか頑張ろう」という担当者の熱意なのである。人間なのである。それが決める。担当者の情熱が、ボーダーにあるものを史跡にする。国の調査官に食いついて、どんだけこの遺跡が重要か、同類のものと比べてこんな特色があるとか、説得的な資料をきちんと用意し、あしらわれても2度・3度しつこく粘り、一方、役所のなかでも整備活用する方針について上層部を説得し、そしてまた、国の調査官には、ちゃんと管理していく体制も整っているとか、整備計画も考えてもらっているとか、必死に訴える。
◆そうすると、「そこまで言われたらしゃーないな~」となる。むろん、調査官も課内で、課長を説得する必要があり、案件の価値について十分いけるかどうかの確信をもてなければ、容易には返事はしないし、だめなものはだめではある。しかし繰り返すが、多くはボーダー、それがめでたく史跡になるかどうかは、人間の熱意なのである。
◆根来は既に史跡だ。誰しもその価値を疑うことはない(史跡になってんだから、という意味ではないですよ)。しかし、誰にも愛されず、面倒くさがられ、仕方なくやっているだけ。岩橋千塚には熱心でも、根来には愛着や情熱はない。一応史跡なので、ちょっとずつは進むだろうし、史跡になっていない範囲について簡単に壊すわけにもいくまい。保存管理計画で、旧境内地についてゾーニングしていく意義は大きい(中身はわからないが)。が、そんなんだから、問題ないものは別にして、開発か保存かという局面になった時、熱意がないんだからダメでしょうね。
◆和歌山県民のみなさん、根来寺遺跡は三内丸山遺跡であり吉野ヶ里遺跡なんです。が、県の文化財保護という公益の番人であるべき文化遺産課は、こんなんなんです。
第2回保存管理計画策定委員会2012年1月12日
○史跡の保護・保全環境の評価について
【委員】(史跡指定の)検討対象地は、旧境内地を視野に入れて、計画を立てていくということになったはず。
【委員】一乗閣はこの区分で行くと「史跡の本質的価値を構成する諸要素以外の諸要素」、「史跡の保存管理上有効な諸要素」のガイダンス施設に位置づけられる
【委員】検討の対象の境界とした蓮華谷川の以西・以東で差をつけるというのもいいか。
【解説と論評】
冒頭にコンサルの説明があるが、その資料は未入手であるが、委員の発言からは、旧境内地を念頭に原案が出されるはずが、蓮華谷川を境界とする案が提出された様子である。挙げなかったが、ある委員の「県は史跡指定地外も含めた既往の発掘調査成果のまとめを作成し、提供して欲しい。」という発言を見ると、遺跡の情報など提供しないで、事務局側で一方的に「検討の対象」を決定し、了解を取り付けようとしていることがわかる。先に書いたような、遺跡の中身の点検などさせないのである。
そして蓮華谷川で区切り、一乗閣移転地の南北尾根を切り捨て、保存管理計画策定の検討範囲から除外された場所であるというお墨付きをもらおうというわけだ。さらに、一乗閣の移転は決定事項であり、「史跡 根来寺境内」にとって構成要素ではないが保存管理上有効な施設として位置づけることになんの疑問も反対も示されない。第1回の議事録による限り、移転決定で合意されたとは読めないが、もはや3月時点では既定路線となったようである。
○旧県会議事堂
和歌山県が、A~E案を提示し、地元との協議で合意を得ていたD案を第一候補として提案。議論では、遺構の保存範囲を増やせないのかという意見が複数上がるが、「障害者用駐車場のスペースの問題、擁壁が威圧感がある等の問題で断念した。」と説明し、さらに「今回は基本設計の方向性を報告した形。詳細は実施設計の中で検討し、地元等と協議しながら詰めていく」として、このままではD案で行けなくなることを恐れ、議論を打ち切っている。
【解説と論評】
文化庁は、「本委員会は旧県会議事堂の移転設計の可否を審議する会ではない。が、外部から聴かれたら、県から報告を受けており、修正は求められていたが、特に異論はないという風に答える」と発言したようだ。この委員会すなわち専門家の集まる会議でも、移転そのものについて反対がなかったことを確認している。
埋蔵文化財包蔵地の取り扱い権限は、地方分権一括法において、都道府県教育委員会に委譲された。しかしことは史跡である。重要な記念物については、文部科学大臣が史跡に指定することができる。
まして「根来寺境内」は既に史跡となっている。この会議を通じて、「史跡 根来寺境内」が十分に保存されるよう促す必要がある。また、そうした観点から、一乗閣の移転がほんとうによいのかどうか、自ら考えるべきであろう。
埋蔵文化財包蔵地であるから口出しできないのは法令上事実であるが、文化財保護法において、国には、国として保存をはかるべき重要な記念物を史跡に指定する責務があるという本質を忘れてはならないだろう。実務上、地方公共団体がやる気がなければ史跡指定できないのは事実だが、それで致し方なし、なにもできないというものではない。自ら考え、保存を促す方向に誘導すること、必要なら明確に反対意見を述べること、国として保存を図る必要のある重要な遺跡に関しては、それこそが調査官の果たすべき役割である。法律を逸脱するものではない。
【委員】(史跡指定の)検討対象地は、旧境内地を視野に入れて、計画を立てていくということになったはず。
【委員】一乗閣はこの区分で行くと「史跡の本質的価値を構成する諸要素以外の諸要素」、「史跡の保存管理上有効な諸要素」のガイダンス施設に位置づけられる
【委員】検討の対象の境界とした蓮華谷川の以西・以東で差をつけるというのもいいか。
【解説と論評】
冒頭にコンサルの説明があるが、その資料は未入手であるが、委員の発言からは、旧境内地を念頭に原案が出されるはずが、蓮華谷川を境界とする案が提出された様子である。挙げなかったが、ある委員の「県は史跡指定地外も含めた既往の発掘調査成果のまとめを作成し、提供して欲しい。」という発言を見ると、遺跡の情報など提供しないで、事務局側で一方的に「検討の対象」を決定し、了解を取り付けようとしていることがわかる。先に書いたような、遺跡の中身の点検などさせないのである。
そして蓮華谷川で区切り、一乗閣移転地の南北尾根を切り捨て、保存管理計画策定の検討範囲から除外された場所であるというお墨付きをもらおうというわけだ。さらに、一乗閣の移転は決定事項であり、「史跡 根来寺境内」にとって構成要素ではないが保存管理上有効な施設として位置づけることになんの疑問も反対も示されない。第1回の議事録による限り、移転決定で合意されたとは読めないが、もはや3月時点では既定路線となったようである。
○旧県会議事堂
和歌山県が、A~E案を提示し、地元との協議で合意を得ていたD案を第一候補として提案。議論では、遺構の保存範囲を増やせないのかという意見が複数上がるが、「障害者用駐車場のスペースの問題、擁壁が威圧感がある等の問題で断念した。」と説明し、さらに「今回は基本設計の方向性を報告した形。詳細は実施設計の中で検討し、地元等と協議しながら詰めていく」として、このままではD案で行けなくなることを恐れ、議論を打ち切っている。
【解説と論評】
文化庁は、「本委員会は旧県会議事堂の移転設計の可否を審議する会ではない。が、外部から聴かれたら、県から報告を受けており、修正は求められていたが、特に異論はないという風に答える」と発言したようだ。この委員会すなわち専門家の集まる会議でも、移転そのものについて反対がなかったことを確認している。
埋蔵文化財包蔵地の取り扱い権限は、地方分権一括法において、都道府県教育委員会に委譲された。しかしことは史跡である。重要な記念物については、文部科学大臣が史跡に指定することができる。
まして「根来寺境内」は既に史跡となっている。この会議を通じて、「史跡 根来寺境内」が十分に保存されるよう促す必要がある。また、そうした観点から、一乗閣の移転がほんとうによいのかどうか、自ら考えるべきであろう。
埋蔵文化財包蔵地であるから口出しできないのは法令上事実であるが、文化財保護法において、国には、国として保存をはかるべき重要な記念物を史跡に指定する責務があるという本質を忘れてはならないだろう。実務上、地方公共団体がやる気がなければ史跡指定できないのは事実だが、それで致し方なし、なにもできないというものではない。自ら考え、保存を促す方向に誘導すること、必要なら明確に反対意見を述べること、国として保存を図る必要のある重要な遺跡に関しては、それこそが調査官の果たすべき役割である。法律を逸脱するものではない。
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プロフィール
HN:
雲楽
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。