人を幸せにする人になろう
- 日々の雑多な感想や記録を書き留めていくことにします―2008年6月~―
パティ=スミスが何者かは知らないが
◆0825夕刊にパティ=スミスの11年間を追った映画の紹介記事があった。パンクの女王らしい。この間、いろいろな不幸が重なったらしいが、悲劇に立ち向かっていけるのは、父が教えてくれたことだったという。
◆それは「東京の人たちは街が破壊された後、立ち上がった。広島も長崎も・・・。生き残った人たちは人生をやり直し、街を立て直し、伝統的な文化を再現し、新しい文化さえ生み出した。私はそのことを胸に生きてきた」んだって。父は太平洋戦争中、日本兵と戦ってきたが、原爆投下を知り、日本への贖罪の気持ちを持ち続けたという。「父の痛みをそばで感じてきたから、私にも罪の意識がある。8月6日には広島、9日には長崎のことを思う」という。こんなアメリカ人もいるのだ。
◆前に終戦記念日のあたりの「せやねん」で、トミーズ雅が、日本はすごい、1945年の敗戦後、大都市は焼け野原になったにもかかわらず、1964年、20年を切る時間でオリンピックを開催したと。そうやな。賛成。
◆それは「東京の人たちは街が破壊された後、立ち上がった。広島も長崎も・・・。生き残った人たちは人生をやり直し、街を立て直し、伝統的な文化を再現し、新しい文化さえ生み出した。私はそのことを胸に生きてきた」んだって。父は太平洋戦争中、日本兵と戦ってきたが、原爆投下を知り、日本への贖罪の気持ちを持ち続けたという。「父の痛みをそばで感じてきたから、私にも罪の意識がある。8月6日には広島、9日には長崎のことを思う」という。こんなアメリカ人もいるのだ。
◆前に終戦記念日のあたりの「せやねん」で、トミーズ雅が、日本はすごい、1945年の敗戦後、大都市は焼け野原になったにもかかわらず、1964年、20年を切る時間でオリンピックを開催したと。そうやな。賛成。
財団法人調査組織
◆今日まで、悪ではないが、原因者負担にのっかり、これからは事業量減とともに役割を終えて消えゆく存在と思っていた。が、いやそうではない、非常によくできた仕組みで,、むしろきちんと位置づけし、公共に組み込むとともに、今後も1人立ちできるようにして、育てていくべきではないか、と思った。
◆イギリスやフランスなどでは、遺跡の取り扱いや調査を実施する専門家集団、それがどんなものなのか明確な像はないが、そういうものがあると聞いている。開発行為と遺跡保護をどう調整をつけるか、最終的には行政が判断を行うが、その際、遺跡に関しては、考古学的な観点からの専門的知見が必要であり、重要性の判断、そして発掘となるとその調査を実施すると理解している。そこには、ある種の権威がともなっている。それは遺跡のことを一番わかっている学術組織であるということだ。その意見がすべてに優先して尊重されるということはない、それは行政が、開発行為の公益性なり住民の便益などから総合判断するからだが(バランスのとれた総合判断ができる能力の高さが行政マンには求められるが)、しかし、遺跡のことはきちんと意見聴取をし、意見は「聞いておく」のでなく、きちんと尊重される、そんなイメージ。
◆かつて協力者会議のなかで、日本のシステムでは、行政の人間はつらいという意見があったのを思い出す。遺跡の生き死にを決める重大な判断をさせられるが、そうしたジャッジは、もっと上位の権威ある機関でやってもらいたい、というような意見だった。
◆いま都道府県のなかでそうした仕組みに近いものがあるのは岡山県だ。遺跡なんとかというのがあって、大学人などからなり、岡山県文化課の取り扱い判断に意見をのべる専門家グループ。近藤義郎がつくったもの。お墨付きを与える役割でなく、実際上、機能していたと思う。そのメンバーから近藤先生をはずしたのが、時の文部省から来ていた課長の最大の功績だ、という話があるので、実際、いろんな意見が出る、県教委にとってはウルサクて仕方がなかった存在だったようだ。現状は、新納さんや澤田さんにきけばわかろう。これは悪いことではない。文化財保護審議会があるが、これは指定が主な役割で、実に形骸化したものだ、つまらん。そうでなく、遺跡の取り扱いにかかる第三者機関への意見聴取という1枚があることは重要だ。いまの都道府県には、そうしなくとも経験から適正な判断ができるので不要だという意見もあろう。しかし、これも澤田氏にこないだ聞いた岡山の事例や、大阪をはじめ記録保存に慣れきった現状を見ると、そういうものも必要ではないかと思う。
◆やや脱線した。ともかくも、イギリス・フランスが実際どんなんで、うまくいっているかどうかはともかく、行政は専門家集団でなく(文化は役所のなかでは専門家を多く置いている分野だが)、行政が専門的事項を専門家に意見を求めるの同様、遺跡に関しては餅屋に任せる仕組み、外部の専門家組織が機能していると理解している。
◆日本でもそういう姿に近づかないものか・・・と漠然と思っていた。それと財団法人調査組織が結びついたわけである。
◆もうちょっと説明すると、なぜ公共(官より公であって欲しい)が記録保存の調査をしなければならないかという理屈を、会議を前に考えていた。1)記録保存こそ、遺跡を殺す非常に重要な措置であること(文化庁は取り扱いが決まったものだから民間でもいいという理窟を立てるが違和感がある)、2)現業部門であるが土木工事ではなく学術調査だ、3)活用が叫ばれるが、活用の素材であるのは遺跡、またそこからえられる成果や意味、それをもっとも引き出すことのできるのが発掘調査、それに行政が携わらないことで失うものは大きいのではないか、その遺跡に携わり発掘した人間だからこそ、大事さや意味を熱く語れるのではないか、この3点に整理した。
◆この2番目、学術調査なのでという部分。土木工事で、決まった材料と設計にもとづき組み上げる、建築する、構築する、という世界ではなく、学術的行為なんだ、同列ではないと。午後の会議にむけて午前中、こうした整理をしていて、天王寺にむかう電車のなかだったか、これと財団が結びついた。そういう学術的調査なんだから、西欧のような専門家組織としての調査が日本でもできないのか、近づけないかと。経費があまりにも莫大なら問題になるが、積算基準も策定されている現在、適正な調査実施にはこれだけかかるという予算で、粛々とやるべきだ。それを競争だ、ダンピングだというのにはなじまない。そうすると、それいまでも財団やん、と思った次第。
◆それと、会議をやっていた過程だったか・・・。都道府県がもともとは調査をやってきたが、事業量増に対応するために財団を作った。事業量は減って、そういう対処という意味合いは薄らいできている。が、今日的には、公益性が高く行政でやる(行政が責任をもつ)べきだけれども、行政そのものはスリム化がさけばれるなか、学術的な実働部分は公共が作った専門家集団が実施していく・・・、これ実によくできた仕組みじゃないのか!!!!。ハタと思いついた。増淵氏も賛成してくれた。はからずも、編み出してきた方式は、遺跡調査という公益性ある事業をを実施するにふさわしい形態なんでは?。
(以下は、もうすこし考えるべきなので、見え消しにする。◆これとは別に、市町村は市町村でやるべし、と言ってはきたが、実際には規模に大きな差がある。また、発掘において、たとえば関西の場合、いざ縄文だったり旧石器だったりすると、そんな調査したこともない、ということはザラだ。都道府県こそ、各時代の専門がいて、得意な人間を担当者にできるが、市町村はなんでもかんでもせにゃならんのはきついと。まして文化財行政の根幹をなす市町村の担当者は、マルチにいろんなことをやらんといかん。だから、財団が府下のすべての調査をやったっていい。先にのべてきたような、専門家集団として、あくまで公共の仕事として、都道府県教育委員会のコントロール下にある組織なら、市町村担当者は、指摘されているように発掘調査のみが保護行政ではないので、発掘調査から手を引き、自分のところの文化財の保護と活用に専念したらいい。指定に向けての内容確認の調査でも、史跡整備の調査でも、すべて財団がやればいい。)
◆府教委もそうだ。いまの調査事務所はやめる。広域自治体として府下の文化財行政に専念するべきだ。現業部門をコントロール下に切り離し、保護「行政」、市町村指導などにあたるべきだ。
◆最後の方は勢いで書いているので、さらによく考えてみよう。けれども、これは考えてみる価値はある。その場合、財団が利益に眼がくらまないようコントロールする必要がある。専門家集団として特化し、単独になると、すべての言い分に反論できなくなり、利益誘導がなされる恐れがある。(少なくとも適正な調査予算を算出するのは府であるべきだ。)過去には、親方日の丸の公共事業を請け負う都道府県財団は、がっぽりと潤ってきた。むろん間接経費も多かったが、調査費そのものも、いくらでもやりくりできただろう。同じ発掘調査ながら市町村から異業種と言われる贅沢な調査、現場に出ずに、クーラーの効いた豪奢なプレハブで論文を一日書いていることがまかり通ってきた世界、これらは断固、やめなければならない。
◆もしそうしたことが脱却できるなら、それには、それこそ府教委の監理、センターとのなれ合いでなくセンターの監理をきちんとし、積算根拠も常に見直していく、それが不可欠だ。それと、滋賀県との対比で出てきたが、国の事業の時、滋賀は県が契約し、その仕事を財団に委託する、一方、大阪はセンターが直接やる、その問題もある。国とセンターの直接契約は話は早いかもしれないが、随契の問題もあるが、センターは公共だという立論からすれば滋賀県方式がよい。ここまで考えて、そうすると、公立センターに限りなく近いんじゃないかと思えてきた。
◆公立と財団の違いはないんだろう。職員人件費が100%都道府県が出しているならむろん公立だけど、兵庫県など、県費職員と原因者負担職員がいるのも公立だ。100%原因者が財団だ。ちゃう、いやそう。兵庫県は原因者負担にもとづき給料をまかなっている部分もありながらも、兵庫県職員として位置づけているから公立なんだ。
◆間接経費を積むのは適正な範囲であれば不適当な考えではないと思うが、財団の財政基盤の脆弱さはずっと和田さんが言ってきていることだし、公共としての位置づけを再設定していく場合(むかしは出資金に意味があったんだが・・・)、なんらかの府の財政出動は必要だろう。何人かはセンターに送り込むことも必要かも。馴れあっては困るが。
◆例えば、活用事業、大阪府はやっていない前年度の調査速報展を実施する予算をつけることは、やるべき。普及事業は行政の責務やろ。それと、保存処理や動植物の分析とか、そういういま市町村が、元興寺やらパリノやらに出しているものを、材料費や手間賃程度の安価でやる体制を構築すべし。その初期投資はすべきでは。
◆将来像はどうあるべきか、以前から漠然と考えつつ成案がなかったが、方向性の像が結んだような気がする。むろんこれはあくまで岸本個人の見解。少なくとも都道府県で、福岡県はじめ九州諸県のような直営、文化課・文化財保護課が直でやるということに立ち戻ることはない。その場合、大阪府のセンターが役割を終えて、人員減とともに整理・廃止、府の調査事務所に一本化するというのでなく、むしろ府は、府下の行政に専念し、センターを独立組織でなく、きっちりと公共的機関として位置づけることだ、というのが結論。
◆繰り返しに近いが、さらに言わせてもおう。協力者会議の時、静岡の関野さんが民間を主張していた。土木工事と同じや、ちゃんと監理(監督・管理をまとめてこう言うんだって)すればよい、本来の行政はもっとやることがあると。後半は賛成だが、前半には違和感があったが、上記の考えは両方を解決するのではないか。関野さんのココロは、行政は、いまの言葉で言うと政策立案・評価、文化財保護施策を進めるところで、それをやるべしということだった。だけども発掘調査は土木工事やあらへん、と思っていた。設計と監理をちゃんとやれば、どこがやってもいいんだ、ということに対する違和感、それは公共機関がやるということで解決する。税金の無駄はなくすべきだ、だから常に経費のチェックが必要だ。だが安くて同じ仕事が出来るならそれが絶対的によく入札すべし、とは思わないということ。さらに言えば、関野さんも、静岡県の財団のことでなく、市町村のことを念頭にしゃべっていたように思う。市町村こそ、発掘に追われていたら何にもできないと。だから民間か、という違和感も、その都度、入札業務や、落札した個々の場合で異なる会社に対応し、その都度、説明したりすることはめんどくさい非効率なことだが、はるかに安心だ。
◆国交省や公団と交渉し調査の契約をするのは府であるべきだ。なぜなら、(1)大阪府が発掘調査業務は府民の公益にかかることで、責任があるという姿勢を示す意味、(2)明解な積算根拠をもってこれだけ必要であると説明する責任はそれこそ官が負うべき、(3)予防的な意味だがセンターが過大に積算し要求することの防止、である。また契約が府であることによって、府には事業が適正に遂行されているかセンターの発掘を監理しなければならないし、ここを残せという話をすべき責務も本来は行政にあるのであって、その責務も必然的に府に生じるだろう。府とセンターの関係として(遺物のこととか無数に整理が必要だが)、調査内容の点検はむろんだが、経費については一定の緊張感をもつべきで、センターがこの現場はこんなんだから苦しかったとか、単価を上げてくれとか、むろん要求していいのだが、その緊張感のなかで、確認調査の精度をあげることや、確認調査からどう積み上げるか、積算の精度を上げていくことだ。直接経費はちょうどであることをめざすことが税金の節減だ(う~ん大阪は土の掘削量がすべてなんだった・・・)。
◆いや~、おれもこういう世界、好きやね~。とどまることなく文章を書いている・・・。考古学の原稿書くより生き生きしている。まあ、それにしても、大阪府の会議に出れてうれしい。思ったより、というよりほとんど対立点がないのは、ちょっとつまらないが。このへんは、市町村の入ったWG会議にオブザーバーとして参加したら、けっこう面白いのだろう。それを希望してみようかな。
◆イギリスやフランスなどでは、遺跡の取り扱いや調査を実施する専門家集団、それがどんなものなのか明確な像はないが、そういうものがあると聞いている。開発行為と遺跡保護をどう調整をつけるか、最終的には行政が判断を行うが、その際、遺跡に関しては、考古学的な観点からの専門的知見が必要であり、重要性の判断、そして発掘となるとその調査を実施すると理解している。そこには、ある種の権威がともなっている。それは遺跡のことを一番わかっている学術組織であるということだ。その意見がすべてに優先して尊重されるということはない、それは行政が、開発行為の公益性なり住民の便益などから総合判断するからだが(バランスのとれた総合判断ができる能力の高さが行政マンには求められるが)、しかし、遺跡のことはきちんと意見聴取をし、意見は「聞いておく」のでなく、きちんと尊重される、そんなイメージ。
◆かつて協力者会議のなかで、日本のシステムでは、行政の人間はつらいという意見があったのを思い出す。遺跡の生き死にを決める重大な判断をさせられるが、そうしたジャッジは、もっと上位の権威ある機関でやってもらいたい、というような意見だった。
◆いま都道府県のなかでそうした仕組みに近いものがあるのは岡山県だ。遺跡なんとかというのがあって、大学人などからなり、岡山県文化課の取り扱い判断に意見をのべる専門家グループ。近藤義郎がつくったもの。お墨付きを与える役割でなく、実際上、機能していたと思う。そのメンバーから近藤先生をはずしたのが、時の文部省から来ていた課長の最大の功績だ、という話があるので、実際、いろんな意見が出る、県教委にとってはウルサクて仕方がなかった存在だったようだ。現状は、新納さんや澤田さんにきけばわかろう。これは悪いことではない。文化財保護審議会があるが、これは指定が主な役割で、実に形骸化したものだ、つまらん。そうでなく、遺跡の取り扱いにかかる第三者機関への意見聴取という1枚があることは重要だ。いまの都道府県には、そうしなくとも経験から適正な判断ができるので不要だという意見もあろう。しかし、これも澤田氏にこないだ聞いた岡山の事例や、大阪をはじめ記録保存に慣れきった現状を見ると、そういうものも必要ではないかと思う。
◆やや脱線した。ともかくも、イギリス・フランスが実際どんなんで、うまくいっているかどうかはともかく、行政は専門家集団でなく(文化は役所のなかでは専門家を多く置いている分野だが)、行政が専門的事項を専門家に意見を求めるの同様、遺跡に関しては餅屋に任せる仕組み、外部の専門家組織が機能していると理解している。
◆日本でもそういう姿に近づかないものか・・・と漠然と思っていた。それと財団法人調査組織が結びついたわけである。
◆もうちょっと説明すると、なぜ公共(官より公であって欲しい)が記録保存の調査をしなければならないかという理屈を、会議を前に考えていた。1)記録保存こそ、遺跡を殺す非常に重要な措置であること(文化庁は取り扱いが決まったものだから民間でもいいという理窟を立てるが違和感がある)、2)現業部門であるが土木工事ではなく学術調査だ、3)活用が叫ばれるが、活用の素材であるのは遺跡、またそこからえられる成果や意味、それをもっとも引き出すことのできるのが発掘調査、それに行政が携わらないことで失うものは大きいのではないか、その遺跡に携わり発掘した人間だからこそ、大事さや意味を熱く語れるのではないか、この3点に整理した。
◆この2番目、学術調査なのでという部分。土木工事で、決まった材料と設計にもとづき組み上げる、建築する、構築する、という世界ではなく、学術的行為なんだ、同列ではないと。午後の会議にむけて午前中、こうした整理をしていて、天王寺にむかう電車のなかだったか、これと財団が結びついた。そういう学術的調査なんだから、西欧のような専門家組織としての調査が日本でもできないのか、近づけないかと。経費があまりにも莫大なら問題になるが、積算基準も策定されている現在、適正な調査実施にはこれだけかかるという予算で、粛々とやるべきだ。それを競争だ、ダンピングだというのにはなじまない。そうすると、それいまでも財団やん、と思った次第。
◆それと、会議をやっていた過程だったか・・・。都道府県がもともとは調査をやってきたが、事業量増に対応するために財団を作った。事業量は減って、そういう対処という意味合いは薄らいできている。が、今日的には、公益性が高く行政でやる(行政が責任をもつ)べきだけれども、行政そのものはスリム化がさけばれるなか、学術的な実働部分は公共が作った専門家集団が実施していく・・・、これ実によくできた仕組みじゃないのか!!!!。ハタと思いついた。増淵氏も賛成してくれた。はからずも、編み出してきた方式は、遺跡調査という公益性ある事業をを実施するにふさわしい形態なんでは?。
(以下は、もうすこし考えるべきなので、見え消しにする。◆これとは別に、市町村は市町村でやるべし、と言ってはきたが、実際には規模に大きな差がある。また、発掘において、たとえば関西の場合、いざ縄文だったり旧石器だったりすると、そんな調査したこともない、ということはザラだ。都道府県こそ、各時代の専門がいて、得意な人間を担当者にできるが、市町村はなんでもかんでもせにゃならんのはきついと。まして文化財行政の根幹をなす市町村の担当者は、マルチにいろんなことをやらんといかん。だから、財団が府下のすべての調査をやったっていい。先にのべてきたような、専門家集団として、あくまで公共の仕事として、都道府県教育委員会のコントロール下にある組織なら、市町村担当者は、指摘されているように発掘調査のみが保護行政ではないので、発掘調査から手を引き、自分のところの文化財の保護と活用に専念したらいい。指定に向けての内容確認の調査でも、史跡整備の調査でも、すべて財団がやればいい。)
◆府教委もそうだ。いまの調査事務所はやめる。広域自治体として府下の文化財行政に専念するべきだ。現業部門をコントロール下に切り離し、保護「行政」、市町村指導などにあたるべきだ。
◆最後の方は勢いで書いているので、さらによく考えてみよう。けれども、これは考えてみる価値はある。その場合、財団が利益に眼がくらまないようコントロールする必要がある。専門家集団として特化し、単独になると、すべての言い分に反論できなくなり、利益誘導がなされる恐れがある。(少なくとも適正な調査予算を算出するのは府であるべきだ。)過去には、親方日の丸の公共事業を請け負う都道府県財団は、がっぽりと潤ってきた。むろん間接経費も多かったが、調査費そのものも、いくらでもやりくりできただろう。同じ発掘調査ながら市町村から異業種と言われる贅沢な調査、現場に出ずに、クーラーの効いた豪奢なプレハブで論文を一日書いていることがまかり通ってきた世界、これらは断固、やめなければならない。
◆もしそうしたことが脱却できるなら、それには、それこそ府教委の監理、センターとのなれ合いでなくセンターの監理をきちんとし、積算根拠も常に見直していく、それが不可欠だ。それと、滋賀県との対比で出てきたが、国の事業の時、滋賀は県が契約し、その仕事を財団に委託する、一方、大阪はセンターが直接やる、その問題もある。国とセンターの直接契約は話は早いかもしれないが、随契の問題もあるが、センターは公共だという立論からすれば滋賀県方式がよい。ここまで考えて、そうすると、公立センターに限りなく近いんじゃないかと思えてきた。
◆公立と財団の違いはないんだろう。職員人件費が100%都道府県が出しているならむろん公立だけど、兵庫県など、県費職員と原因者負担職員がいるのも公立だ。100%原因者が財団だ。ちゃう、いやそう。兵庫県は原因者負担にもとづき給料をまかなっている部分もありながらも、兵庫県職員として位置づけているから公立なんだ。
◆間接経費を積むのは適正な範囲であれば不適当な考えではないと思うが、財団の財政基盤の脆弱さはずっと和田さんが言ってきていることだし、公共としての位置づけを再設定していく場合(むかしは出資金に意味があったんだが・・・)、なんらかの府の財政出動は必要だろう。何人かはセンターに送り込むことも必要かも。馴れあっては困るが。
◆例えば、活用事業、大阪府はやっていない前年度の調査速報展を実施する予算をつけることは、やるべき。普及事業は行政の責務やろ。それと、保存処理や動植物の分析とか、そういういま市町村が、元興寺やらパリノやらに出しているものを、材料費や手間賃程度の安価でやる体制を構築すべし。その初期投資はすべきでは。
◆将来像はどうあるべきか、以前から漠然と考えつつ成案がなかったが、方向性の像が結んだような気がする。むろんこれはあくまで岸本個人の見解。少なくとも都道府県で、福岡県はじめ九州諸県のような直営、文化課・文化財保護課が直でやるということに立ち戻ることはない。その場合、大阪府のセンターが役割を終えて、人員減とともに整理・廃止、府の調査事務所に一本化するというのでなく、むしろ府は、府下の行政に専念し、センターを独立組織でなく、きっちりと公共的機関として位置づけることだ、というのが結論。
◆繰り返しに近いが、さらに言わせてもおう。協力者会議の時、静岡の関野さんが民間を主張していた。土木工事と同じや、ちゃんと監理(監督・管理をまとめてこう言うんだって)すればよい、本来の行政はもっとやることがあると。後半は賛成だが、前半には違和感があったが、上記の考えは両方を解決するのではないか。関野さんのココロは、行政は、いまの言葉で言うと政策立案・評価、文化財保護施策を進めるところで、それをやるべしということだった。だけども発掘調査は土木工事やあらへん、と思っていた。設計と監理をちゃんとやれば、どこがやってもいいんだ、ということに対する違和感、それは公共機関がやるということで解決する。税金の無駄はなくすべきだ、だから常に経費のチェックが必要だ。だが安くて同じ仕事が出来るならそれが絶対的によく入札すべし、とは思わないということ。さらに言えば、関野さんも、静岡県の財団のことでなく、市町村のことを念頭にしゃべっていたように思う。市町村こそ、発掘に追われていたら何にもできないと。だから民間か、という違和感も、その都度、入札業務や、落札した個々の場合で異なる会社に対応し、その都度、説明したりすることはめんどくさい非効率なことだが、はるかに安心だ。
◆国交省や公団と交渉し調査の契約をするのは府であるべきだ。なぜなら、(1)大阪府が発掘調査業務は府民の公益にかかることで、責任があるという姿勢を示す意味、(2)明解な積算根拠をもってこれだけ必要であると説明する責任はそれこそ官が負うべき、(3)予防的な意味だがセンターが過大に積算し要求することの防止、である。また契約が府であることによって、府には事業が適正に遂行されているかセンターの発掘を監理しなければならないし、ここを残せという話をすべき責務も本来は行政にあるのであって、その責務も必然的に府に生じるだろう。府とセンターの関係として(遺物のこととか無数に整理が必要だが)、調査内容の点検はむろんだが、経費については一定の緊張感をもつべきで、センターがこの現場はこんなんだから苦しかったとか、単価を上げてくれとか、むろん要求していいのだが、その緊張感のなかで、確認調査の精度をあげることや、確認調査からどう積み上げるか、積算の精度を上げていくことだ。直接経費はちょうどであることをめざすことが税金の節減だ(う~ん大阪は土の掘削量がすべてなんだった・・・)。
◆いや~、おれもこういう世界、好きやね~。とどまることなく文章を書いている・・・。考古学の原稿書くより生き生きしている。まあ、それにしても、大阪府の会議に出れてうれしい。思ったより、というよりほとんど対立点がないのは、ちょっとつまらないが。このへんは、市町村の入ったWG会議にオブザーバーとして参加したら、けっこう面白いのだろう。それを希望してみようかな。
大阪府における今後の埋蔵文化財保護体制のあり方に関する検討会議090826
◆今年度、大阪府文化財保護課では、1)今後の埋蔵文化財保護体制のあり方、2)発掘調査基準(発掘基準だったかな)、3)積算基準、4)民間導入基準、という、これまでやってこなかった課題を含めて一気に整備する会議を進めている。その委員になり、本日、第1回目の会議があった。4が平成22年の市場化テスト導入に対して今年度やってしまわなければならない大きな課題(むろん民間をどんどん入れましょうという話ではない)。
◆ともかく、大阪府が市町村WGを含めて月1で会議を開き、諸課題に対して、これからの大阪府の埋蔵文化財保護の基本となる考え方を整理する画期的な動きを、遅まきながら打ち出した、とわたしは思います(市場化テストをつきつけられなければ立ち上がらなかった?)。
◆議論の内容については公表を避けるが、大阪府保護課にとって大きな年になるもので、そこに関われることを、たいへんだが光栄に思っている。保護課の心意気はわかるし、それに対し、なんでも支持ではむろんなく、委員の立場から発言を続けていきたい。
◆なので予習が必要だし、事前に自分の考えを整理しておかなければならない。なので、月曜日以来、移動時間に文化庁報告やいろんなものを読んでいた。まあ、今日はなんとかなった。会議はこじんまりしていて雰囲気はよく、座長の和田晴吾先生や保護課長さんのさばきもうまく、実質的ないい議論ができたと思う。
◆ともかく、大阪府が市町村WGを含めて月1で会議を開き、諸課題に対して、これからの大阪府の埋蔵文化財保護の基本となる考え方を整理する画期的な動きを、遅まきながら打ち出した、とわたしは思います(市場化テストをつきつけられなければ立ち上がらなかった?)。
◆議論の内容については公表を避けるが、大阪府保護課にとって大きな年になるもので、そこに関われることを、たいへんだが光栄に思っている。保護課の心意気はわかるし、それに対し、なんでも支持ではむろんなく、委員の立場から発言を続けていきたい。
◆なので予習が必要だし、事前に自分の考えを整理しておかなければならない。なので、月曜日以来、移動時間に文化庁報告やいろんなものを読んでいた。まあ、今日はなんとかなった。会議はこじんまりしていて雰囲気はよく、座長の和田晴吾先生や保護課長さんのさばきもうまく、実質的ないい議論ができたと思う。
熊野神社古墳の保存活用委員会090825
◆翌日は東京府中市の熊野神社古墳の保存活用委員会。こっちは、事務局がしっかりしている。東京都のな
かで地元の市がきちんと調査を実施し、博物館活動も熱心だ。なにせ武蔵国府跡を300次くらい調査を重ねている努力は眼を見張る。そして熊野神社古墳については、上円下方墳の発見から、史跡指定、買収、整備、実にスピーディだった。事務局の力量と努力には頭がさがる。委員会でも、しっかり自分たちで考え方向を打ち出していた。おうかがいをたてるというのではなく。しっかりした考え方に裏打ちされた意向に、ほとんど異論はなかった。
◆できあがったものの、整備の仕方や石の葺き方には異論もあるかもしれない。しかし、しっかりとした検討を経た上で、蓋然性の高いものを選択してきた。てっぺんがどうなっていたかなど、葺石が落下してしまった現段階で確実なことは言えない。けれども、わから
ないから貼り芝でというより、市の石を葺き上げる選択はよかったと思う。根拠の不明な部分もあるが、実際に石を積んだ上円下方墳の姿を示す方が、細部は違っていても本来の姿をイメージしてもらえる。仕上がったものは、迫力があって訴える力がある。それは7世紀中頃においてもそうだったであろう。
◆石積み職人は、ランダムにと注文しても、どうしてもきれいにしあげてしまう。実際にはでこぼこしていたに違いない。けれど、コンクリートの塊といったイメージでなく、むろん内部にはコンクリートが流し込まれているのだが、表面には一切見えず、きちんと石を積んだように仕上がっており、成功していると思う。
◆府中市、人口20数万。東芝府中、NECなどの大会社が多く、財政も豊かだ。交付金は不要。だから同じ人口の他市と比較できない点もあるが、しかしそんな大きな市でもない。枚方市や茨木市の方が大きい。しかし、これだけのことをやる。ほぼ同じ人口の加古川市にはできやしない。
◆来年度、ガイダンス施設を作って一応の事業完了だが、引き続き周囲の土地を確保していく予定にしている。さらに既に地元で保存会を立ち上げ、そこに400人の応募があったという。管理や解説ボランティアとして、ガイダンス施設を核に、古墳保存活動を通した新しい地域住民のまとまりができつつある。これもほかには見習ってほしいものだ。
◆そう考えると、やはり話題作り、打ち上げ、そして熱が冷めないうちに一定の目に見える整備を進め、地元の保存団体を形成し、そこに管理を預け自己運動を軌道に乗せていく、という戦略とスピーディさが必要やね。
◆できあがったものの、整備の仕方や石の葺き方には異論もあるかもしれない。しかし、しっかりとした検討を経た上で、蓋然性の高いものを選択してきた。てっぺんがどうなっていたかなど、葺石が落下してしまった現段階で確実なことは言えない。けれども、わから
◆石積み職人は、ランダムにと注文しても、どうしてもきれいにしあげてしまう。実際にはでこぼこしていたに違いない。けれど、コンクリートの塊といったイメージでなく、むろん内部にはコンクリートが流し込まれているのだが、表面には一切見えず、きちんと石を積んだように仕上がっており、成功していると思う。
◆府中市、人口20数万。東芝府中、NECなどの大会社が多く、財政も豊かだ。交付金は不要。だから同じ人口の他市と比較できない点もあるが、しかしそんな大きな市でもない。枚方市や茨木市の方が大きい。しかし、これだけのことをやる。ほぼ同じ人口の加古川市にはできやしない。
◆来年度、ガイダンス施設を作って一応の事業完了だが、引き続き周囲の土地を確保していく予定にしている。さらに既に地元で保存会を立ち上げ、そこに400人の応募があったという。管理や解説ボランティアとして、ガイダンス施設を核に、古墳保存活動を通した新しい地域住民のまとまりができつつある。これもほかには見習ってほしいものだ。
◆そう考えると、やはり話題作り、打ち上げ、そして熱が冷めないうちに一定の目に見える整備を進め、地元の保存団体を形成し、そこに管理を預け自己運動を軌道に乗せていく、という戦略とスピーディさが必要やね。
京丹後市網野銚子山古墳の委員会090824
◆銚子山も指定の同意、報告書、土地境界の測量、申請、指定告示、買い上げと、整備までには時間がかかる。そこで赤坂今井の整備をその間にやっつけてはどうだろうか。
◆赤坂今井は、導線の階段、墳丘の貼芝などの表面処理、そして上面の埋葬施設の表示くらいだ。実施設計
◆次に網銚だ。しかしこれは蛭子山方式でよい。立木を整理し、大きくならない笹?を地べたにはわす。大がかりな復元整備をする必要はまったくない。あとはこの機会にどこまで墳丘の調査を実施するかだけだ。極端かもしれないが、調査も必要ない。美しい墳丘は、すこし痛んでいるところを補修するのみでよい。調査をして内容を蓄積しないと説明や発信ができないというなら、一定の調査をやってもいいが、どうだろうか。あんまり手を入れないでも、立木整理で見せることは十分だ。これにさらに労力をかけることは、時間と金がもったいなくないか。丹後に遺跡を見に来る人は、きれいになった銚子山を必ず見に来てくれる。それよりも、地元で、1年に2・3度、草刈りをしたり、解説ボランティアをしてくれる保存会を作り育てていく方が重要だ。
◆京丹後には、古墳だけでも、これ以外にいろいろあって、湧田山をどうするか、太田南をどうするか、といった課題があるので、そっちに労力をかけた方がよい。また文化庁の時にかかわった産土山も、きちんと見てもらえるようにすべきだ。長持形石棺がほとんど露出しているので、見せるようにしてもよい。
◆古墳だけでない、扇谷にしても、奈具岡にしても、なんぼでもやることはある。丹後に遺跡ツアーに来てもらって、1泊2日であちこちまわってもらえるだけの素材にことかかない。カニを食って、ブリを食って、カキを食って、海産物にもこと欠かないし、自然もある。美しい海もある。こっちも、なるべく早く神明山の測量報告を出さなければ。
老眼が進行している
◆ずいぶん前から老眼になっているが、いよいよなんか小さい字を読むときのみならず、常に眼鏡をしていないと不便になってきた。いまは99ショップの100円老眼鏡を使っていて、それで十分役に立っているのだが。で日常的に眼鏡となると、遠近両用境目のないやつがスマートなのだろうが、前に是長先生と話をしたときに、眼鏡の下だけ四角く老眼用のカットになっているやつが眼にはよいと医者は必ず言う、といわれた。そうなると、なんだか年寄り臭く思うのだが、どうしよう。今年3月の誕生日に自分で老眼鏡をこしらえようかと思っていたが、思っただけに終わった。いよいよ眼鏡をつくろう・・・。
大阪府庁のWTC移転問題
◆大阪府庁のWTC移転について、賛成していたが、府教委のK氏の話を聞いて、それから保留になった。橋下は9月議会に再度移転案を上げて、否決されれば辞任し、出直し選挙で府民の意見を問う可能性があるとの新聞報道があった。
◆なぜ、いまのところではいけないのか。それは本庁の建物が古く(文化財になりうる)耐震強度が弱いということだったかと思う。また、手狭感なのだろう。本庁舎のみならず、別館があり、また例えば文化財保護課は民間ビルにある。保護課のみならず、いろんな部署が近隣ビルに賃貸で入っている。歩いていける距離だが、分散感は否めない。一等地でまとまった府の土地がない以上、いたしかたがない。これがいちばんの問題ではないか。そのあたり、発端がよくわからん。
◆そして財政赤字だ。今の土地で高層ビルを建てるのも金がかかる、耐震補強にも金がかかる。WTCを買う方が安く、かつ府庁機能を収納できる容積が確保できる、ということ。元にもどって、なにが問題か。やっぱり、人口増、行政機能の拡大に追いつき、適正な府庁舎が整備できず、分散していること、なんだろう。分散していることの弊害は何となくわかるのだが、もうすこし切実な不便さを理解したいところだが。それがそれほどでもなければ、耐震補強をして、そのままいた方がよいのだろう。しかし、常に賃貸料を払い続けていくのも馬鹿らしいことだ。このまま我慢して、本庁はこのままにしろ、別館などの建て替えを、財政状況がよくなった時点で作るというのもありかもしれない。それにしても、新しくできた府警の建物は立派なもんだ(申敬チョル氏が驚いていた)。
◆橋下の意見として、窓口対応の多い市役所と違う都道府県庁は、中心部でなくてもよいという。それはわかるような気がする。都道府県が許可する大規模開発等の許認可の書類をもってくる業者、また権限は都道府県でも窓口は市町村のものは多く、市町村の役人が府庁へ行く。こうした実際に府庁に足を運ばなければならない人は、確かに市町村より少ないんだろうな、とは思う。
◆大阪市の負債を解消するという点についても、府市連携として、行政の助け合いに近いのかもしれないが、あっていいと思う。府は安くWTCビルを取得し、大阪市は作った時に比べて大赤字としても、何ともならないWTC問題がともかく決着する。それはいいことではないのかと。また埋め立て開発をしたものの、会社が進出するなどの実質が進まないあの南港地区を、府庁移転で促進するという橋下の言い方も一理ある。
◆で、大阪府職員の意見。災害が起これば、WTCは孤島と化し(新交通システムというやつか?、これが麻痺する)、府職員はWTにたどりつけず、災害対応など府が指揮をとらなければならないところ、府の行政機能は麻痺するという。
◆府職員は反対だわな。都市部は便利だ、店もあるし、プライドもくすぐられる。淀屋橋と言えば大阪市というのと同じく、大手前は大阪府だ。埋め立て地に立つノッポビルであり災害に強いとは思えない点、大きく西に転じ、幹線から離れ交通の便が悪いし料金も高いことなど、確かにうなずける。大地震があったらどこでも同じかというと、確かに埋め立て地は、大阪の土建業者だからおそらく手抜きの工事をしているだろうし、地盤は沈降し、ずたずたになり、深く基礎を打ち込んだWTCはポッキンと折れないとしても、確かにまわりは海水に没し孤島と化すかもしれない。そしてまた復旧もたいへんだろう。
◆だが、とやっぱり思ってしまうな。そんな災害、備えておかなければならないが、100年に一度もないだろう。もしそういうことがおこっても、府の職員は泳いでもWTCに行けばよいとも思う(笑)。で、こういうことは考慮しなければならないとしても、移転の是非の主要な反対の論点になるんだろうか。それだけ?という感じ。それ以外の反対理由をあんまり聞かない。
◆橋下の気持ちはよくわかるのだ。まとまった土地に新規に府庁機能を全面移転するには経費がかかりすぎる。大阪市が処分に困っているWTCなら建設費はいらないし、安く買いたたける。そう考えるのもよくわかる。そう考えると、都庁はいい時期にうまいことやったもんだ。非人間的な超高層だが、都心では高くするしかないし。大阪府職員はいまのところがいいに決まっている。
◆おれ、けっこう橋下に共感している部分も正直あるのだ。あかんとこも無論だが。で、どうなるんだろうな。否決、辞任、出直し選挙、再選、議会も認めざるをえない・・・、こう推移してWTCに行くかもしれんな。郵政民営化じゃないけど、府庁移転を争点に知事選をやって、むろんこの1年半で橋下反対の立場の人間も作ったろうが、まだ圧倒的に支持されるだろう。橋下が宮崎県知事とともに全国的にしょっちゅう取り上げられ、大阪府民はそんな橋下を知事に再選するに違いないと思う。どうなることやら。
◆なぜ、いまのところではいけないのか。それは本庁の建物が古く(文化財になりうる)耐震強度が弱いということだったかと思う。また、手狭感なのだろう。本庁舎のみならず、別館があり、また例えば文化財保護課は民間ビルにある。保護課のみならず、いろんな部署が近隣ビルに賃貸で入っている。歩いていける距離だが、分散感は否めない。一等地でまとまった府の土地がない以上、いたしかたがない。これがいちばんの問題ではないか。そのあたり、発端がよくわからん。
◆そして財政赤字だ。今の土地で高層ビルを建てるのも金がかかる、耐震補強にも金がかかる。WTCを買う方が安く、かつ府庁機能を収納できる容積が確保できる、ということ。元にもどって、なにが問題か。やっぱり、人口増、行政機能の拡大に追いつき、適正な府庁舎が整備できず、分散していること、なんだろう。分散していることの弊害は何となくわかるのだが、もうすこし切実な不便さを理解したいところだが。それがそれほどでもなければ、耐震補強をして、そのままいた方がよいのだろう。しかし、常に賃貸料を払い続けていくのも馬鹿らしいことだ。このまま我慢して、本庁はこのままにしろ、別館などの建て替えを、財政状況がよくなった時点で作るというのもありかもしれない。それにしても、新しくできた府警の建物は立派なもんだ(申敬チョル氏が驚いていた)。
◆橋下の意見として、窓口対応の多い市役所と違う都道府県庁は、中心部でなくてもよいという。それはわかるような気がする。都道府県が許可する大規模開発等の許認可の書類をもってくる業者、また権限は都道府県でも窓口は市町村のものは多く、市町村の役人が府庁へ行く。こうした実際に府庁に足を運ばなければならない人は、確かに市町村より少ないんだろうな、とは思う。
◆大阪市の負債を解消するという点についても、府市連携として、行政の助け合いに近いのかもしれないが、あっていいと思う。府は安くWTCビルを取得し、大阪市は作った時に比べて大赤字としても、何ともならないWTC問題がともかく決着する。それはいいことではないのかと。また埋め立て開発をしたものの、会社が進出するなどの実質が進まないあの南港地区を、府庁移転で促進するという橋下の言い方も一理ある。
◆で、大阪府職員の意見。災害が起これば、WTCは孤島と化し(新交通システムというやつか?、これが麻痺する)、府職員はWTにたどりつけず、災害対応など府が指揮をとらなければならないところ、府の行政機能は麻痺するという。
◆府職員は反対だわな。都市部は便利だ、店もあるし、プライドもくすぐられる。淀屋橋と言えば大阪市というのと同じく、大手前は大阪府だ。埋め立て地に立つノッポビルであり災害に強いとは思えない点、大きく西に転じ、幹線から離れ交通の便が悪いし料金も高いことなど、確かにうなずける。大地震があったらどこでも同じかというと、確かに埋め立て地は、大阪の土建業者だからおそらく手抜きの工事をしているだろうし、地盤は沈降し、ずたずたになり、深く基礎を打ち込んだWTCはポッキンと折れないとしても、確かにまわりは海水に没し孤島と化すかもしれない。そしてまた復旧もたいへんだろう。
◆だが、とやっぱり思ってしまうな。そんな災害、備えておかなければならないが、100年に一度もないだろう。もしそういうことがおこっても、府の職員は泳いでもWTCに行けばよいとも思う(笑)。で、こういうことは考慮しなければならないとしても、移転の是非の主要な反対の論点になるんだろうか。それだけ?という感じ。それ以外の反対理由をあんまり聞かない。
◆橋下の気持ちはよくわかるのだ。まとまった土地に新規に府庁機能を全面移転するには経費がかかりすぎる。大阪市が処分に困っているWTCなら建設費はいらないし、安く買いたたける。そう考えるのもよくわかる。そう考えると、都庁はいい時期にうまいことやったもんだ。非人間的な超高層だが、都心では高くするしかないし。大阪府職員はいまのところがいいに決まっている。
◆おれ、けっこう橋下に共感している部分も正直あるのだ。あかんとこも無論だが。で、どうなるんだろうな。否決、辞任、出直し選挙、再選、議会も認めざるをえない・・・、こう推移してWTCに行くかもしれんな。郵政民営化じゃないけど、府庁移転を争点に知事選をやって、むろんこの1年半で橋下反対の立場の人間も作ったろうが、まだ圧倒的に支持されるだろう。橋下が宮崎県知事とともに全国的にしょっちゅう取り上げられ、大阪府民はそんな橋下を知事に再選するに違いないと思う。どうなることやら。
京都で3箇所
◆調査委員をしている城陽市芝ケ原の今年度調査が始まっていて、委員会の前に見てくれと言われていたので、本日21日行ってきた。今年度の課題、後方部北東部、東くびれ部、そしてかつての埋葬施設埋め戻し部分の確認、これはほぼ目的は達せられそう。ちょっと掘り方が気に入らなかったので、今年度の開け方に注文をつけていて、それにしたがって調査区を設けている(でも東西畔の設定に失敗していた。わかっていない・・・)。城陽市は金をかけて史跡地隣接地を取得した。これは画期的だ。
◆京都まで来たので、小さな展覧会を見に行った。馬場南遺跡の出土品がとっても面白かった。緑釉水波紋を入れた山形の造形物・・・。破片からどんな姿になるか、復元図もあったが、ちょっとよくわからなかったが、とにかく珍品でわくわくするようなものだった。こないだ大手前大学に行ったとき、先輩のM氏は、こちらのもっていった(玉手山3号墳から去年出土したもののX線撮影をしてもらった)遺物を見て、ときめきがあるか、おれはない、という悲しい話を聞かされたが、いやいや馬場南の遺物にはわくわくした。
◆それにしても、奈良県も京都府も、兵庫県も、昨年度の調査の展示会を続けている(兵庫県は新博物館になってからか)のに対し、わが大阪府は・・・。それくらいの普及事業をやれよ。組織も調査量も展示施設もあるのに・・・。大阪府文化財センターはやっていないわけではないが、こうした事業は府はぜんぶセンターに任せてしまっている。またセンターも京都府のように定例化していない。
◆小さな展覧会の開催している向日市の資料館で、注目したのは乙訓郡の1/2500の模型。こういうのを見ると、それこそときめく。よくできている。大阪市大で和泉市について作りたいと思った。起伏がよくわかり、古墳や長岡京の立地がよくわかる。これは単純に地図にあわせて手で切ったものを重ねたもので、どうも専門的にやっているところが作ったみたいだが、やりかたは、学生が文化祭で作るのと変わりはない。いまは等高線をキャドデータにしてやれば、機械が削りだしてくれる。カミさんが科研で500万の機械を買うらしい。「模型作ったるで」と。それで、和泉市、これは市大が10数年間フィールドとしてきた地域だからだが、古市・百舌鳥の白石科研のデータをもとに、古市百舌鳥の模型を、カミサンに作ってもらおうか、近つは引き取らないかな・・・、などと考えていた。
◆で、30日に講演する長岡京市の恵解山古墳を見に行く。恥ずかしながら、きちんと見たのは、昨年の委員会
で調査している時がはじめて。あのときは寒風ふきすさぶ震え上がる日で、現場からそうそうに引き上げたので、改めて見にいった。前方部がどれくらい削平されており、同じく後円部がどれくらい墓地で崩されているのか、に注目した。前方部の鉄器埋納遺構が検出されていることからして、前方部はかなり本来の高さが残っていそうだ。なので、先の委員会では、ここのトレンチはやめとけと敢えて言ったが、認められなかった。開けて埋葬施設が出てきて、ひとまず墓坑検出に留まればいいのだが・・・。いま確認せんでもいいんちゃう、という気持ちなのだが・・・。後円部はやっぱり飛んでいるのかな。それと、昨年度の調査でもっとも気になった、地震による墳丘崩壊ではないかという点だ。寒川さん(息子はうちの古代史院生)にみてもらったが、地震とは断言できない、といった評価だったと、その後、聞いた。調査担当者はまったく懐疑的。だけど、土層からすると不自然なのだ。後世あれだけの改変をやるとは思えない(もうウロ覚えだが)。
◆さあて、月曜日までに資料を送れと言われ、約束してしまったが・・・どうしよう。ひとまず、ミサンザイなのか誉田御廟山なのか、市野山なのか、そのどれに対応するかを特定することができれば、OK。明日、やってみよう。
◆京都まで来たので、小さな展覧会を見に行った。馬場南遺跡の出土品がとっても面白かった。緑釉水波紋を入れた山形の造形物・・・。破片からどんな姿になるか、復元図もあったが、ちょっとよくわからなかったが、とにかく珍品でわくわくするようなものだった。こないだ大手前大学に行ったとき、先輩のM氏は、こちらのもっていった(玉手山3号墳から去年出土したもののX線撮影をしてもらった)遺物を見て、ときめきがあるか、おれはない、という悲しい話を聞かされたが、いやいや馬場南の遺物にはわくわくした。
◆それにしても、奈良県も京都府も、兵庫県も、昨年度の調査の展示会を続けている(兵庫県は新博物館になってからか)のに対し、わが大阪府は・・・。それくらいの普及事業をやれよ。組織も調査量も展示施設もあるのに・・・。大阪府文化財センターはやっていないわけではないが、こうした事業は府はぜんぶセンターに任せてしまっている。またセンターも京都府のように定例化していない。
◆小さな展覧会の開催している向日市の資料館で、注目したのは乙訓郡の1/2500の模型。こういうのを見ると、それこそときめく。よくできている。大阪市大で和泉市について作りたいと思った。起伏がよくわかり、古墳や長岡京の立地がよくわかる。これは単純に地図にあわせて手で切ったものを重ねたもので、どうも専門的にやっているところが作ったみたいだが、やりかたは、学生が文化祭で作るのと変わりはない。いまは等高線をキャドデータにしてやれば、機械が削りだしてくれる。カミさんが科研で500万の機械を買うらしい。「模型作ったるで」と。それで、和泉市、これは市大が10数年間フィールドとしてきた地域だからだが、古市・百舌鳥の白石科研のデータをもとに、古市百舌鳥の模型を、カミサンに作ってもらおうか、近つは引き取らないかな・・・、などと考えていた。
◆で、30日に講演する長岡京市の恵解山古墳を見に行く。恥ずかしながら、きちんと見たのは、昨年の委員会
◆さあて、月曜日までに資料を送れと言われ、約束してしまったが・・・どうしよう。ひとまず、ミサンザイなのか誉田御廟山なのか、市野山なのか、そのどれに対応するかを特定することができれば、OK。明日、やってみよう。
新産業創生研究
◆科研がないので、あれこれ小さな研究に申請しているが、学内の新産業創生研究に応募して、数日前に採択通知が来た。1件200万くれるはずだが、今回は、応募が多く、競争率は高いと聞いてはいたが、採択されたのはよいが、1/3。65万だ。
◆これは、橋本の測量業者共和さんに(高松塚もやっている。共和さんの名前が出ないと社長はなげいていた。わたしもサンケイの記事が出るときに、ぜったい(株)共和の協力で、と書いてくれと注文をつけるべきだった・・・)、いくつか測量などをしてもらい、レーザースキャンの有効性を示すと言うことを目的としている。ひとつは横穴式石室。横穴式石室は、稜線の書き方など、図のタッチは個別に異なり、なかなか同列では比較が難しい。レーザースキャンでデータをとって、陰影処理をしてやれば、ほんとうに写真のような画像ができあがる。線描きもそこから起こせる。ともかくも、レーザースキャンの陰影画像による、横穴式石室の比較研究が、これからやるべきことだろうと思っている。
◆で、どこをやるか、きっっかけとなったのは、桜井市がやった赤阪天王山の画像で、これは桜井の橋本さんにも聞いていたし、共和さんが見せてくれた。で、やっぱり横穴式石室の大きいのは、圧倒的に奈良県なのだ。で奈良でやってもいいのだが、大阪をアピールせなあかんし、八尾の愛宕塚か、オーコの横口式石槨などが候補となる。
◆もうひとつは大阪城の石垣。天下普請で、各大名が持ち場を決めて石垣を積み上げた。世界一の石垣の高さを誇る。高さ、急峻な壁面、そして水濠、やるとしてもこれまでなら写真測量だったろうが、これからはレーザースキャンであり、最適の対象だからだ。近世城郭の石垣はたいへん、図は基本だが、作るのがたいへんだし、とくに大阪城など、総面積は莫大。しかし積み方を研究するにしても、ひとまず現況を把握するにしても、図化作業は基本なのだが、そういうわけで簡単ではないし予算がかかるし、大阪城もほとんどなにもない(こないだ森岡さんに聞くと一部はあるらしい)。で、なけなしの予算で測れる面積は知れているだろうが、大阪市教委・天守閣と相談して、どこをやるか、これから相談していこう。
◆で、共和さんに相談に来てもらうことになった。この研究ではほかに、古市・百舌鳥古墳群の3Dと、いま橿原考古学研究所がやっているような遺物の計測とは異なる原理によるブツの計測方法についても挙げている。このネタはいま明らかにするわけにはいかないが、画期的な計測方法である。
◆これは、橋本の測量業者共和さんに(高松塚もやっている。共和さんの名前が出ないと社長はなげいていた。わたしもサンケイの記事が出るときに、ぜったい(株)共和の協力で、と書いてくれと注文をつけるべきだった・・・)、いくつか測量などをしてもらい、レーザースキャンの有効性を示すと言うことを目的としている。ひとつは横穴式石室。横穴式石室は、稜線の書き方など、図のタッチは個別に異なり、なかなか同列では比較が難しい。レーザースキャンでデータをとって、陰影処理をしてやれば、ほんとうに写真のような画像ができあがる。線描きもそこから起こせる。ともかくも、レーザースキャンの陰影画像による、横穴式石室の比較研究が、これからやるべきことだろうと思っている。
◆で、どこをやるか、きっっかけとなったのは、桜井市がやった赤阪天王山の画像で、これは桜井の橋本さんにも聞いていたし、共和さんが見せてくれた。で、やっぱり横穴式石室の大きいのは、圧倒的に奈良県なのだ。で奈良でやってもいいのだが、大阪をアピールせなあかんし、八尾の愛宕塚か、オーコの横口式石槨などが候補となる。
◆もうひとつは大阪城の石垣。天下普請で、各大名が持ち場を決めて石垣を積み上げた。世界一の石垣の高さを誇る。高さ、急峻な壁面、そして水濠、やるとしてもこれまでなら写真測量だったろうが、これからはレーザースキャンであり、最適の対象だからだ。近世城郭の石垣はたいへん、図は基本だが、作るのがたいへんだし、とくに大阪城など、総面積は莫大。しかし積み方を研究するにしても、ひとまず現況を把握するにしても、図化作業は基本なのだが、そういうわけで簡単ではないし予算がかかるし、大阪城もほとんどなにもない(こないだ森岡さんに聞くと一部はあるらしい)。で、なけなしの予算で測れる面積は知れているだろうが、大阪市教委・天守閣と相談して、どこをやるか、これから相談していこう。
◆で、共和さんに相談に来てもらうことになった。この研究ではほかに、古市・百舌鳥古墳群の3Dと、いま橿原考古学研究所がやっているような遺物の計測とは異なる原理によるブツの計測方法についても挙げている。このネタはいま明らかにするわけにはいかないが、画期的な計測方法である。
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プロフィール
HN:
雲楽
年齢:
61
性別:
男性
誕生日:
1964/03/22
職業:
大学教員
自己紹介:
兵庫県加古川市生まれ。高校時代に考古学を志す。京都大学に学び、その後、奈良国立文化財研究所勤務。文化庁記念物課を経て、現在、大阪の大学教員やってます。血液型A型。大阪府柏原市在住。